【PICK UP!若手経営者 001】タイムレス訪問看護ステーション 細谷匠悟代表 最終更新日:2024/10/25
在宅医療界の若手経営者へのインタビュー企画「PICK UP!在宅医療界の若手経営者」の第1回目は2024年11月に東京都江戸川区にて「タイムレス訪問看護ステーション」を開業される看護師 細谷匠悟さんです。これまでの道のり、そして開業にかける思いを熱く語っていただきました。
これまで
— 看護師になられたきっかけを教えてください
高校まで進路については迷っていて、親からは公務員を勧められていたのですが、ちょうどその時に肺の自然気胸になって、入院した時に看護師がとても優しくケアをしてくれたので憧れをもったのがきっかけになります。
そこから目標が明確になったので、受験勉強に励み、日本赤十字北海道看護大学に進みました。
— 大学時代はいかがでしたか
勉強には結構自信があったので、座学は余裕をもってできました。ただ、病院実習が始まってからは看護記録を書くなどやらなければならないことが膨大にあって、寝る時間を削って病院実習に取り組む状況でした。そんな中、本当に恥ずかしくあってはならない話ですが、緩和ケア病棟での実習中に患者さんの手を握りながら寝てしまい、病棟の看護師から涙ながらに怒られたことは、今でも忘れられないエピソードになります…
— 浦河赤十字病院に進まれます
大学時代に日本赤十字社から奨学金をもらっていたので、浦河赤十字病院に就職しました。内科と整形外科の混合病棟からスタートし、次は内科と消化器外科の混合病棟を経験しました。急性期から慢性期、周手術期まで地方特有の何でも屋さんのような看護師でした。浅く広くの経験だったので専門的なことになると、まだまだ勉強不足を感じることはありますが、そこでの経験は今に生きています。
— 友人と立ち上げた「OneWayTicket」について教えてください
浦河赤十字病院の3年目が終わる頃に友人と協同で立ち上げました。ブログなどのライティングのお手伝いなどからはじめ、現在はWebマーケティングを総合的に支援する会社になりました。
スタートは好調で、その後苦しい時期もありましたが、この事業を本格展開させるため、奨学金を繰り上げ返済し、浦河赤十字病院を退職し、夜勤専従へスイッチしました。
この頃には、訪問看護ステーション設立の構想もできつつあり、OneWayTicketでは東京のお客さんが増えてきたので、夜勤専従は3か月間の契約として、契約終了とともに東京に移住しました。
スタートは好調で、その後苦しい時期もありましたが、この事業を本格展開させるため、奨学金を繰り上げ返済し、浦河赤十字病院を退職し、夜勤専従へスイッチしました。
この頃には、訪問看護ステーション設立の構想もできつつあり、OneWayTicketでは東京のお客さんが増えてきたので、夜勤専従は3か月間の契約として、契約終了とともに東京に移住しました。
— ここから訪問看護ステーション設立に向けて準備をされます
はい、開業を前提に東京都板橋区の健祐会訪問看護ステーションに勤めました。開業後は終末期を中心にやっていきたいと思っていたので、終末期のケアに力を入れているところとして選びました。
病棟で勤務していた頃にほぼすべての患者さんが「家に帰りたい」と言われ、その思いを実現するために、看護師の資格を使って、訪問看護ステーションを設立したい、そんな思いが強くなっていきました。
タイムレス訪問看護ステーションについて
— 「TIMELESS」のネーミングに込められたメッセージや想いについて教えてください
ネーミングは色々と考えましたが、「TIMELESS」は直訳すると”時代や流行の変化の影響を受けない”であるので、我々が提供することが時代を超えて、流行りや廃りがなく、普遍性をもった事業になって欲しいと思い決めました。
— スタート時はどのような人員、体制ですか。
私と私の妻(看護師)と浦河赤十字病院での同僚だった看護師の3人と事務員1人の計4人です。現在は開業にむけて絶賛営業中です。電動自転車に乗って、医療機関の地域連携室やケアマネージャーにご挨拶し、名刺やパンフレットを配っています。また、人柄を伝えることも大切だと思っていて、InstagramでDMしたり、人に会ってお話したり、そこから人を紹介してもらったりしています。
— 江戸川区で開業ですが、その理由を教えてください
マーケティングの話になりますが、江戸川区は東京23区の中でも高齢者が多い地域ですが、医療機関や訪問看護ステーションの数が少ないのが現状です。そうなると、必然的に自宅に戻る高齢者が増え、訪問看護ステーションの供給が需要に追いついていないということ。もう一つの理由は、前職で関わっていた健祐会訪問看護ステーションのエリアである板橋区、北区、練馬区と被らないことです。
— 「TIMELESS」の強みは何になりますか
これまで終末期が多いところで働いてきているので、がんの末期の患者さんなど終末期がきちんと診れる、ここが一つの強みになります。
あとは保険外のサービスの充実に力を入れていこうと思っています。
外出支援、旅行支援などはもちろんですが、終末期なので、人生の最期にあれをしたかった・これをしたかった関連に応えていきたいですね。例えば、着付けのサービス、シェフを派遣しての家族パーティーやエンディングビデオの作成などを提供していきたいです。TIMELESSのロゴが砂時計をモチーフにしているように、お父さん、お母さんから貰った愛情や時間、体験を、死というライフイベントを堺に今度はひっくり返して次の世代に届けていける。そういうケアやサービスをしていきたいですし、ここが我々のユニークポイントになると思っています。
— どのような「TIMELESS」にしていきたいですか。目指すべき姿を教えてください。
我々のビジョンとして掲げている「TIMELESSを憧れに」という言葉の通り、利用者や看護師、関連職種の憧れとなり、選ばれる存在になりたいです。現状では、ケアマネージャーさんや地域連携室からの紹介によって患者さんを診ることになるのですが、患者さんや家族が主体的に我々を選んでくれる、そんな存在になりたいですね。
また、看護師さんをはじめ医療従事者の皆様からも「TIMELESS」で働きたいと思われるようになっていきたいです。
また、看護師さんをはじめ医療従事者の皆様からも「TIMELESS」で働きたいと思われるようになっていきたいです。
未来に向けて
— 細谷さんが感じている「訪問看護」の課題について教えてください
東京などの都会でのケースになるのですが、競争が激しいため、ビジネス度が高すぎることでしょうか。利益を求めないと人も雇えないので仕方ないところではありますが、例えば、ケアマネージャーさんから患者さんを紹介され、対応する人員が不足しているにも関わらず、断ったら次の紹介がこなくなることを危惧して、受けてしまう。そんな無理をせざるを得ない状況でスタッフも疲弊してしまう、課題と感じてます。
また、逆に地方は訪問看護ステーションが少ない、そこも課題で、地域医療、地域連携の考え方を大きく変えるしかないかなと思います。地域全体でカバーしていく。例えば、あのステーションは終末期が強いから、終末期の患者さんはそこへ、 あそこのステーションはリハビリが強いからあそこへのような、餅は餅屋じゃないですが、ある程度専門性を持って、利用者さんに利益になるような構造を作れたらいいかなと思います。
— 細谷さんが目指している「訪問看護」について教えてください。
日本一諦めの悪い訪問看護を目指していきたいですね。終末期を主として関わっていくうえで、病院ではなく在宅でできる事の幅は本当に広がります。なので、利用者さんの希望に対して看護の枠組みだけで捉えて諦めるのではなく、医療職以外の人間も巻き込んで本人そしてそのご家族も幸せになれるような新しいスタイルを築いて行きたいです。
— 最後に地域住民の方へメッセージをお願いします
ご本人の希望を一番大切に、医療での視点だけではなく、ご本人の希望を一番にケアさせてもらえたならと思います。そして、家で過ごせる幸せを存分に感じてもらいたいです。
医療的な処置とご本人がやりたいことの妥協点を見つけて、家で最期を過ごせて良かったなという空間を作っていきたいです。
タイムレス訪問看護ステーション
細谷匠悟代表のプロフィール
経歴:
2019年 日本赤十字北海道看護大学卒業
2019年 浦河赤十字病院
2022年 (株)OneWayTicket創業
2022年 石狩幸惺会病院
2023年 健祐会訪問看護ステーション
2024年 タイムレス訪問看護ステーション開業(11月1日)
2019年 日本赤十字北海道看護大学卒業
2019年 浦河赤十字病院
2022年 (株)OneWayTicket創業
2022年 石狩幸惺会病院
2023年 健祐会訪問看護ステーション
2024年 タイムレス訪問看護ステーション開業(11月1日)