【PICK UP!若手経営者 002】ライフ訪問看護ステーション 小高良隆&江藤剛さん 最終更新日:2024/12/22
在宅医療界の若手経営者へのインタビュー企画「PICK UP!在宅医療界の若手経営者」。第2回目は「ライフ訪問看護ステーション」(東京都世田谷区、目黒区)にて4拠点の事務長を務める小高良隆さん、事務長補佐 江藤剛さんです。これまでの道のり、現在地点そして今後の展望について熱く語っていただきました。
訪問診療から訪問看護へ拡大
— 株式会社ARCWELLの成り立ち、その後の進化について教えてください。
小高 もともとARCWELLは現在の理事長が2012年6月1日に医療法人社団として訪問診療からスタートしています。2020年に訪問看護ステーションを立ち上げることになり、株式会社ARCWELLにてライフ訪問看護ステーションをスタートして、今年の8月で5期目に入っています。
世田谷区喜多見の「喜多見ステーション」からスタートして、僕が入社した2期目の頃に2店舗目として世田谷区駒沢の「駒澤ステーション」、同年11月に3店舗目、世田谷区宮坂の「経堂ステーション」ができました。僕は事務長として入社しましたが「そもそも事務長って何?」という感じでわからないことだらけで、もう手探りでやっていましたね。
江藤 私が入職する前なので聞いた話にはなりますが、当時は今と違っていて、各ステーションに事務長がいて、管理者(看護師の責任者)とのセットの体制でした。ただ、その体制では、個々が独立した組織体になってしまい、全体としてもっとこうしたら良いのに、こうあるべきだ、ということが中々伝わらず、皆が同じ方向を向いていない状況に陥っていました。そこから改善を重ね、いろいろな経緯があって、小高が全体の事務長となり、新たにできた「都立大ステーション」を含めた3拠点をまとめてみていこうとなり、私が事務長補佐としてジョインしました。
小高 実際のところ、社内全体マネジメントを一任されており、私がCOO的な立ち位置で江藤とともに、取り仕切っている感じですね。
当初はまず「経堂ステーション」を見て、そこがうまくまわりはじめて、そこから「駒澤ステーション」を見ていきました。ところが「駒澤ステーション」はスタッフのメンタリティなどがなかなか厳しい状況で、改善を図りつつ、人員の流動化を進めました。
そこから新たな採用活動をはじめましたね。まずは、カジュアル面談にて、ビジョンや今後の展望をお伝えして、業務内容や待遇を踏まえて、自己実現の場としてやりきれるかを考えてもらいました。そこでOKであれば、面接。そこから、採用とステップを踏むことで、いいメンバーが集まってくるようになりました。
いいメンバーが集まってくることで、利用者も増えて、売上成長率も上がっていき、さらに採用も順調に決まっていく良循環となって、3期目に目黒区大岡山に「都立大ステーション」、そして本年の10月に世田谷区喜多見に「喜多見ステーション」を新たに開業し、現在4拠点になっています。
— 現在の施設数や今後の展望について教えてください。
江藤 訪問診療については、医療社団法人ARCWELL単体では5施設で、グループ内のもう1法人、恵怜会も含めるとトータルで8施設になります。訪問看護は新規開業を含めると4施設、あわせて12施設を運営しています。
「限界決めずにどんどん伸ばしていこう」の理事長からの大号令の元、これからも成長させていき、いつの日かの株式上場を目指しています。
優秀なスタッフ、それを支える待遇
— どのようなことを意識して運営されていますか。
小高 スタッフそれぞれの想いとか、実現したい感動を得られる場になることを意識しています。こうやってほしいとか、しっかり決めているわけではなく、それぞれの拠点の管理者の主体性にまかせていて、それによって成果が出る、さらに主体的に進めていく、そんな仕事がやりやすい事業所作りを意識しています。
管理者を核として各事業所を組織化させていくイメージで、採用時もその人にどの事業所が適しているかを考えて配置していきます。
我々としては、成果が出ていないところにはしっかり伝えますが、管理者が進めていこうとすることに関しては、基本的にはまかせています。わからないときは考えさせたり、考えをもってきたら、助言したりと、サポート役に徹していますね。
— スタッフさんの待遇が良いとお聞きしましたが詳しく教えてください。
江藤 一般的に求人票に書かれている給与って、理論上は可能なのですが、実際のところは難しいものが多いのですが、我々の場合は、ほぼほぼ求人票に記載とおりの報酬になりますし、「蓋をあけたら高かった」とスタッフからよく言われたりします。
「がんばったものには報いる」という理事長の方針の元、インセンティブの単価が高いのが要因の一つです。インセンティブとは、月間の訪問時間が一定時間を超えると発生するもので1時間あたりの単価設定となっていて、我々の単価は業界標準の3~4倍にしています。
— どのような人員、体制で運営されていますか。
江藤 直近では言語聴覚士さんが入職されて、2名体制となり、口腔ケアのニーズが高まる中、他社さんよりは広いサービス提供ができる状況になってきました。
管理者もそうですが、看護師や理学療法士なども結構優秀な方が多いなという印象がありますね。訪問に同行した時などに利用者さんが何度も何度も頭を下げられてしまい、心から感謝されているのを実感します。
人数としては全体で30名で、事務4名、言語聴覚士2名、理学療法士/作業療法士が9名、看護師が15名になります。
我々なりに突き進んでいくだけ
— 今抱えている課題、そしてそこへの対応について教えてください。
小高 離職のリスクが高いので、働きやすい職場を作る、というのが永遠のテーマとしてありますね。いかに現場で気持ちよく働いてもらえるか、やりがいをどうやったら見いだせるのか、看護に専念できるためにどうしたら良いのか、そこは常に考えています。
あとは、訪問看護の性質上、プライベートに介入して、生活しづらさを体感することもありますし、他院での経験があるスタッフがほとんどなので、「ライフ訪問看護ステーション」の理念のような独自の一つの物差しをもって、それを共通言語化し伝えていくことも重要と思っています。
— どのような戦略で進めていますか。
小高 訪問看護ステーションが次々に開業されている昨今、競合、競合と言いますが、そんな意識は全くありません。医療は競うことではないですし、ごくシンプルに求められていることを提供するだけだと思っています。自分たちの使命を定めて、必要な人に必要なケアを提供することを意識して「ポジショニング」すれば良いし、訪問看護ステーションが増えても共闘の意識で協力し合って行く事が必要だと思っています。
まだまだ成長余地はあるので、10拠点でスタッフ100名にすることを目指していきます。
最大限の貢献を目指していく
— では、小高さんのことお聞きします。入社までの経歴について教えてください。
小高 プロのサッカー選手を目指していて、国際武道大学から実業団(現在のJ3)へ進みましたが、5年で引退しました。その後、友人からの誘いがあって、3年ほどカラオケ店の店長をやりました。そこで、アルバイトを含め30名ほどのマネジメントとか店舗経営とかゼロから学び、それが今に活きています。
その後、コロナにより店舗が閉店となり、創業当初のフィットネスマシンの営業、販売支援の会社に転職します。会社がどのようにして起業して、成り立っていくのかを知りたくて、入社したのですが、ここでかなりスキルが磨かれた気がしています。
激務のため、体調を崩してしまい、2か月で退職となりましたが、カラオケ店の上司がARCWELLに在籍していて、声を掛けてもらい、面接を通って、現在に至っています。
— 仕事上、どのようなことに喜びを感じていますか?
小高 シンプルに一生懸命誰かのために何かをやっている人を見るのに喜びを感じます。看護師さんって、誰かのため、ダイレクトにやっているのでその姿を見るのは何か嬉しいなと思います。あとは、最初は0でのスタートだったのですが、そこからどんどん新しい現実が生まれて、積みあがっていくことにも喜びを感じますね。
— 目指していること、教えてください。
小高 たくさんの人と関わって、仕事をしていきたいですね。そして、自分が介在したところに価値を生み出して、最大化していきたいですね。今は大きさは求めないですが、最終的に、そこがお金に変われば最高ですね。
仕事への充実感の最大化を目指して
— では、江藤さんにも。入社までの経歴について教えてください。
江藤 私も国際武道大学でサッカー部に在籍し、小高の1年後輩になります。新卒でゴールドジムを展開している会社に入って、マシンの納品やサプリメントの検品や出荷などを行っていました。上場企業で規模も大きく、出世も難しい印象があり、営業への異動も叶わず、3年勤めた後、アスリート系支援の紹介会社に転職しました。1年で新規部署の責任者になったのですが、そこでの仲間たちが会社を起業するとなり、夢があっていいなと思って、私もそこに加わりました。
そこでも人材紹介を行っていて、楽しい仕事でしたが、人材業の性質に限界を感じ、小高から事務長補佐を探しているので採用に協力してほしいと言われたのですが、業務内容に魅力を感じて、「じゃ、私がやります」と言って、ARCWELLに入社し、現在に至っています。
— 仕事で感じる苦労があれば、教えてください。
江藤 そうですね、これまで企業でいろいろと経験している中で、医療の現場では何でこういう視点がないのだろうみたいな疑問が多かったですね。でも奉仕の形と企業の形があって、今があるので、ビジネス的に厳しくやるのは難しいなっていう葛藤があって、それが一つの苦労ですね。
— 目指していること、教えてください。
江藤 現場に行くと、看護師さんは患者さんからすごい喜ばれて、感謝されているところを見ます。そこに自分も携われているので、そういうものを持って、これからも仕事をしていきたい。あとはプライベートですね、家族を養って、子どもに好きなことをさせれるように経済的な自由度を大きくしていきたいです。
何かお困りのことがあれば、いつでも来てください
— 今後の課題を教えてください。
小高 馬力の弱い訪問看護ステーションとか、そもそも経営能力とか知識がない人がやりたいからっていう思いでやっちゃって苦労するっていうのをよく聞くので、まず学ぼうということ。閉鎖してしまうことはもったいないし、提供者側が不足することは、今後一気にくると思うので、それを防ぐことが課題かと思っています。
江藤 この業界って独特で、基本的にはケアマネージャーや医師の指示に基づいて動くものなのですが、困っている人と直接マッチングできるようなものが出てきてほしいですね。就職活動同様に、人が介在するのではなく、自分で見て選んでっていうニーズはあると思うし、そこに対応してほしいです。
— どのような姿を目指していきますか。
小高 働く人たちの想いとか、やりがいの搾取にならないようにしないいけないと思っています。疲弊したような感じでやってる人も時々見受けられるんで、そういう人たちでも良かったなって思える状況を作っていくことが、 訪問看護だけに関わらず、在宅医療、介護とかには必要なのかなと思っていますので、皆が満足される世界を作っていきたいですね。
— 最後に地域住民へのメッセージをお願いします。
小高 何かお困りのことがあれば、そこに手を差し伸べることができますので、何でも仰ってください。我々はみなさまの「やりたい」を実現させる、そんな存在でありたいと思っています。よろしくお願いいたします。
江藤 我がステーションには自慢のスタッフがたくさんいます。みんな喜んでいます。さらに喜んでいただける方を増やしていきたいので、お困りのことがあれば、ぜひ「ライフ訪問看護ステーション」へご連絡ください。お待ちしております。
プロフィール:
小高良隆(おだかよしたか)
株式会社ARCWELL ライフ訪問看護ステーション 事務長
経歴:
2013年 国際武道大学卒業
2013年 栃木ウーヴァFC(実業団サッカーチーム)
2018年 株式会社第一ソフト
2020年 フィットネス会社
2020年 株式会社ARCWELL
2013年 国際武道大学卒業
2013年 栃木ウーヴァFC(実業団サッカーチーム)
2018年 株式会社第一ソフト
2020年 フィットネス会社
2020年 株式会社ARCWELL
江藤剛(えとうごう)
株式会社ARCWELL ライフ訪問看護ステーション 事務長補佐
経歴:
2014年 国際武道大学卒業
2014年 株式会社THINKフィットネス
2017年 株式会社ジールアスリートエージェンシー(現:ジールコミュニケーションズ)
2018年 KEPインターナショナル株式会社
2024年 株式会社ARCWELL
2014年 国際武道大学卒業
2014年 株式会社THINKフィットネス
2017年 株式会社ジールアスリートエージェンシー(現:ジールコミュニケーションズ)
2018年 KEPインターナショナル株式会社
2024年 株式会社ARCWELL