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はじめての自費リハビリ|脳卒中リハの選び方・料金・訪問リハのポイントを専門家が丁寧に解説 最終更新日:2025/12/13

【看護師監修】介護保険・医療保険がきかない看護サービスの選び方、はじめ方
脳卒中後のリハビリは「早期」「集中的」「継続」が重要とされています。しかし、医療保険や介護保険ではリハビリの時間・頻度に限りがあり、「もっと集中的に訓練したい」「退院後のリハビリが物足りない」と感じる方も少なくありません。
そこでいま注目されているのが、保険外の 自費リハビリ や 訪問型の自費リハビリサービス です。制度の制約を受けず、専門セラピストによるマンツーマンの訓練を続けられるため、脳卒中後の機能改善や日常動作の向上を目的としたご家族からも選ばれています。
本記事では、自費リハビリの特徴、料金、選び方、事前に知るべき注意点まで、初めての方でも安心して利用できるようわかりやすく解説します。

はじめに — 脳卒中後のリハビリ課題と保険外サービスの必要性

「退院後もリハビリを続けたいのに、医療保険や介護保険ではリハビリが受けられない
介護保険のリハビリでは時間が短くて物足りない
介護保険のリハビリでは、改善が実感できない
そんな声が全国で増えています。
医療保険や介護保険の枠組みでは、リハビリテーションの実施回数や期間に上限があります。脳卒中・骨折・神経疾患など、長期的な改善を目指す方にとっては、「もっと継続的にリハビリしたい」「もっと改善が実感できるリハビリがしたい」というニーズが高まっています。
その新たな選択肢として注目されているのが、「自費(保険外)リハビリテーション:以下 自費リハビリ」です。
ここでは、自費リハビリの仕組みから、選び方・契約時の注意点・費用の目安までを総合的に解説します。

自費リハビリとは?保険外リハビリテーションの基本と位置づけ

自費リハビリとは、医療保険・介護保険が適用されない、全額自己負担のリハビリサービスを指します。
リハビリ専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など)が個人または民間事業として提供しており、保険制度の制約を受けない自由なリハビリが可能です。

保険リハビリとの違い

保険リハビリと自費リハビリの違い
制度上の制約がない分、「目的に合わせた個別プログラム」や「生活環境に即した指導」が受けられるのが大きな特徴です。

なぜ今、自費リハが選ばれるのか — 制度の限界と訪問リハの広がり

医療保険・介護保険の限界

急性期・回復期リハビリ病棟では、発症から150~180日を超えるとリハビリが終了となるケースが多く、「もっと続けたいのに打ち切り」となる例が後を絶ちません。
一方、介護保険下のリハビリ(通所リハ・訪問リハなど)は、週1〜3回・1回20~40分程度が一般的で、集中的な改善を目指すには”リハビリの量”が十分でないことがあります。
リハビリの量が十分だとしても「リハビリ内容が利用者の体に合わなければ改善しない」という”リハビリの質”に課題がある場合もあります。

利用者ニーズの多様化

・歩行や手の動きをもう少し改善したい
・職場・社会復帰を目指して訓練したい
・家で安心して生活できるようにしたい
・スポーツや趣味を再開したい
こうした目的を持つ方に、自費リハビリは自由度の高い選択肢を提供します。

専門職の独立・地域展開の増加

医療機関を退職した理学療法士らが起業し、在宅型通所型オンライン型の自費リハビリを全国各地で立ち上げています。
「病院でできないことを地域で実現する」流れが強まりつつあります。

自費リハを始める前に確認すべきこと — 目標設定・頻度・セラピストの専門性

目的・ゴールを明確にする

どんな動作を改善したいのか」「何を達成したいのか」を明確にします。
例えば、
・杖を使わず歩けるようになりたい
・右手で食事できるようになりたい
・趣味(ゴルフ・楽器)を再開したい
この“目的設定”が、プログラム設計・頻度・担当者選びすべての基準になります。

主治医・ケアマネとの連携

自費リハを始める際には、既に通っている医療機関やケアマネジャーへ共有しておくと安心です。
疾患の状態や投薬情報を把握した上で、無理のないプランを立てることが重要です。

予算を把握しておく

料金は1回あたり8,000〜15,000円が一般的です。月4回利用なら3〜6万円程度が目安。
長期的に続けるために、初期評価+回数券プランやモニター価格の有無を確認しておきましょう。

自費リハビリの種類と特徴 — 脳卒中特化型から訪問リハビリまで比較

在宅訪問型

セラピストが自宅に訪問し、実際の生活環境に合わせて動作訓練を行います。転倒リスクのある方や、移動が難しい方に適しています。
強み:生活環境に即した実践的指導・家族指導が可能。

通所型

トレーニング機器や広い空間を活用し、集中的な訓練が可能です。脳卒中後遺症やパーキンソン病など、専門的プログラムが整備されている施設もあります。
強み:最新設備・チーム体制による高強度リハ。

オンライン型

ビデオ通話を使い、遠隔でリハ指導を受ける新しい形。軽度の方や遠方在住者に利用が増えています。
強み:全国対応可能、生活環境に即した実践的指導・家族指導が可能。

後悔しない選び方 — 良い事業者・セラピストの見極めポイント

1. 国家資格の有無

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など、医療資格を持つスタッフかを確認。

2. 専門領域・実績

脳卒中、整形外科疾患、パーキンソン病など、得意分野を明示しているか。

3. 体の改善が実感できるか

1回のリハビリ前後で体の改善が実感できるか、その改善が翌日まで継続しているかどうか。

4. 初回評価とカウンセリング

姿勢・歩行・筋力などを科学的に測定し、目標設定を共有してくれるか。

5. 継続支援体制

ホームエクササイズや生活指導を含め、フォローアップがあるか。

6. 口コミ・評判・症例紹介

実際の利用者の声、SNSやGoogleレビュー、紹介実績を確認。

7. 安心の契約制度

料金・キャンセルポリシー・返金対応を明記しているかどうか。
自費リハビリ事業社一覧

契約前に必ず押さえたい注意点 — 料金・解約・継続条件の確認項目

・初回契約時に書面を受け取る(料金・内容・責任範囲を明示)
・体調不良時のキャンセル規定を確認
・事故・けが時の保険加入状況を確認(損害賠償保険など)
・定期的な効果測定(再評価)を依頼する
契約書に「返金・中止・担当交代」に関する記載がない場合は、事前に質問しましょう。

効果を最大化する継続のコツ — 自宅でできる自主トレとの組み合わせ

週2〜3回の継続+日常生活での実践が理想的
・家族や介護スタッフ、介護保険のリハビリ専門職がリハビリ内容を理解し、支援する体制を作る
・自宅でのセルフリハ(5〜10分の習慣化)で効果を定着させる
・小さな変化も「見える化」してモチベーションを保つ
また、「1ヶ月ごとの再評価」で成果を数値化(歩行距離・筋力・可動域など)することで、効果の実感が高まります。

自費リハの費用相場と支援制度 — 訪問リハビリの料金比較とお得に使う方法

医療費控除の対象になる場合も(診断書・領収書が必要)
・一部自治体では在宅生活支援事業の補助金対象となる場合あり
・介護予防教室・高齢者向け運動支援事業と組み合わせて費用を抑えることも可能
継続利用を想定するなら、「回数券・会員制プラン」などで割安になるかも確認しましょう。

プロが答える!脳卒中リハビリの自費サービス選びQ&Aまとめ

Q1. 医療保険や介護保険のリハビリと自費リハは、どのように使い分ければよいですか?
A. 医療保険・介護保険のリハビリは、発症直後や機能改善の初期段階で大きな役割を果たしますが、期間や頻度に制限があります。
一方、自費リハは「保険終了後の継続リハビリ」や「より高度な動作改善・社会復帰支援」に適しています。
たとえば脳卒中後の片麻痺の方なら、病院では基礎動作の改善、自費リハでは歩行姿勢・手の巧緻動作のさらなる改善など、目的を分けて併用するのが理想的です。医師やケアマネジャーと情報を共有し、チームの方針と矛盾しない範囲で利用すると安心です。
Q2. 自費リハビリを受ける際、医師の指示書や診断書は必要ですか?
A. 現在、明確なルールが存在せず施設によって異なります。
自費リハビリは保険診療の対象外であり、利用者が自由に選べるサービスであることもあり、原則として必要ない施設も多くあります。ただし、安全性を確保するため、医師からの意見書などを通じて、医療情報を共有したうえでプログラムを設計することが望まれます。
特に心疾患・骨粗しょう症・脳血管障害・人工関節術後など、一定のリスクがある方は主治医に相談しましょう。医療機関併設型の自費リハ事業者では、医師が監修しているケースもあります。
Q3. どのくらいの期間・頻度で続けると効果が期待できますか?
A. 個人差があります。初回の体験利用である程度判断ができるので相談しましょう。
一般的に、週2〜3回・1回60〜90分のリハビリを1ヶ月以上継続すると、筋力や可動域・バランス能力に改善が見られる方が多いです。ただし、目的や疾患によって必要期間は異なります。
脳卒中のように神経可塑性(脳の再学習)が関わる場合は、6ヶ月以上の中長期的アプローチも有効とされます。また、「やって終わり」ではなく、自宅でのセルフリハを習慣化することで、改善・維持の効果が高まります。事業者によっては「定期評価レポート」や「動画フィードバック」を提供しており、進捗を可視化できます。
Q4. 料金はなぜ高いのですか?費用を抑える方法はありますか?
A. 自費リハは人件費の多くを経験豊富な国家資格者のマンツーマン指導が占めるため、単価が高くなります。
1回あたりの料金は60分8,000〜15,000円前後が相場です。
ただし、以下のような方法でコストを抑えることも可能です。
・初回体験割引:初回評価+体験リハを半額で受けられる
・回数券・定期契約割:長期利用者向けの割引プラン
・モニター制度:アンケート協力などで割安になる
・医療費控除:医師の指導に基づく場合、確定申告で控除対象になることも
・自治体支援制度:一部地域では「介護予防・生活支援事業」の助成対象になる場合あり
「高額=良質」とは限らず、担当者の専門性・実績・対応姿勢を重視して比較検討しましょう。
Q5. トラブルや不満があった場合はどうすればいいですか?
A. まずは契約書を確認し、返金・中止・担当変更に関する規定をもとに、事業者へ正式に申し出ます。
契約内容が曖昧な場合でも、記録(メール・LINE・領収書など)を保管しておくことが重要です。それでも解決しない場合は、以下のような相談窓口が利用できます。
・消費生活センター(188)
・都道府県理学療法士会・作業療法士会の相談窓口
・医療・介護関係の苦情相談窓口
また、契約前に「損害賠償保険」「施術事故補償制度」に加入しているかを確認しておくと、万一の際にも安心です。
信頼できる事業者ほど、説明責任・リスク対応・情報開示を丁寧に行っています。
自費リハビリ事業社一覧

まとめ — 保険外リハビリを賢く選んで、回復のチャンスを最大化する

自費リハビリは、「もっと良くなりたい」「自分のペースで取り組みたい」という思いを実現できる新しい仕組みです。
保険制度の枠にとらわれず、自由度・専門性・個別性を追求できる一方で、費用負担や事業者選定には注意が必要です。
大切なのは、
・目的とゴールを明確にすること
・信頼できる専門職を選ぶこと
・継続して取り組む姿勢を持つこと
リハビリの主役は自分」という意識で、納得のいく選択をしていきましょう。

この記事を監修した理学療法士


生野達也 (いくのたつや)
生野 達也 ❏リモット株式会社 代表取締役社長、 ❏NPO全国在宅リハビリテーションを考える会 理事 理学療法士)
経歴:
1979年北海道生まれ。2002年吉備国際大学 保健科学部 理学療法学科 卒業。同年、理学療法士国家資格取得。近森リハビリテーション病院、独摂南総合病院 認知神経リハビリテーションセンターに勤務。2012年県立広島大学 大学院 総合学術研究科 卒業、修士号取得。2013年動きのコツ研究所リハビリセンターを開設(兵庫県西宮市)。2016年リモット株式会社創業。2017年一般社団法人動きのコツ協会設立。
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