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【PICK UP!若手経営者 004】出張看GO! 水本大勝所長 最終更新日:2024/12/22

【PICK UP!若手経営者 004】出張看GO! 水本大勝所長
在宅医療界の若手経営者へのインタビュー企画「PICK UP!在宅医療界の若手経営者」。第4回目は2024年6月に「出張看GO!」を開業された水本大勝さんです。これまでの道のり、現在、そしてこれからの夢にかける思いを熱く語っていただきました。
看護師、ドライバーそして看護師
— 看護師を目指したきっかけを教えてください。
長崎出身です。両親の就職での苦労を見て、「資格を取って、手に職をつけなさい」という教育方針を受けて育ちました。中学時代に母から「看護師なんてどう?」と勧められたことがきっかけで看護師に興味を持ちました。
しかし、高校は工業高校に進学しました。工学系と看護師の道とどちらを選ぶか迷いましたが、工業高校在学中に「男性ばかりの環境はもういい。女性が多い職場で働きたい」という思いから看護師を選択し准看護学校に進学することにしました。
— そこからの歩みはいかがでしたか。
そこから准看護学校に進学し、そのまま同じ系列の正看護師の専門学校に進学しましたが、先生との関係性に悩み、卒業まで3ヶ月というところで退学し、父親と同じ長距離ドライバーになりました。
長距離ドライバーとして働きはじめましたが、看護への想いがやはり強くあって、准看護師に戻り、精神科で1年半働きながら別の看護学校に再入学し、28歳で正看護師資格を取得しました。それから、一度公務員を経験してみたいという思いもあって、長崎の佐世保にある自衛隊病院で勤務しました。
— 東京での勤務が今のベースにあるとお聞きしました。
その後のコロナ禍の中、2021年に自衛隊東京大規模接種センターに派遣となりました。東京では3週間勤務していたのですが、長崎とは違った東京への憧れが大きくなり、また派遣業務を行う中で、看護師人材ビジネスの可能性も感じました。
そして、長崎に戻ったらすぐに現職へ退職を申し出て、半年後から東京でフリーランスの看護師をはじめました。まずは、高齢者施設やコロナ関連施設で継続しての夜勤を行い、その後もいろいろな施設で夜勤をして、年収が以前の3倍ほどになり、フリーランス看護師の未来を感じました。
また、収入が増えると、気持ちにも余裕が生まれ、患者さんにも丁寧に対応できるし優しくできることに気がつきました。
まずは一般社団法人出張看護協会にてスタート
— 一般社団法人出張看護協会を立ち上げます。そのきっかけを教えてください。
東京での経験から看護師の人材派遣にニーズがあることは確信していたので、まずは、一般社団法人として看護師の人材支援する「出張看護協会」を立ち上げました。これまでの人脈などを活用して、8ヶ月間で500名の看護師の方々が登録してくれました。仕事のマッチングに限界があったり、スピード感が必要な状況に対応できていないところに、うまくピースとして看護師人材支援がはまったと思っています。
— フリーランス看護師の可能性は大きそうですね。
はい、看護師が不足していると言われている昨今でも、派遣スタッフに支えられて、コロナ関連の診療や予防がまわったことから、看護師人材業のニーズは大きいと実感しています。
さらに、フリーランスになることで収入アップも実現できて、年収1,000万円も現実的なレベルになります。
— そこから看護師業務委託「出張看護ステーション」へ進展します。
はい、「一般社団法人出張看護協会」では、登録されている看護師さんを、医療機関へ繋げるモデルでしたが、より直接的にやってみたい思いが強くなり、また、フリーランス看護師のニーズの大きさも日に日に大きくなっていると感じていたので、直接、自身で集めたリストを利用してに訪問看護事業として「出張看護ステーション」を始めることにしました。
新たな業態としての業務委託看護師
— 「出張看護ステーション 出張看GO!」はお一人で立ち上げされたのですか。
いいえ、もともとは知人の美容クリニックのオーナーと共同で2024年6月に立ち上げました。その後、お互いの方向性がかみ合わないこともあって、私のほうで事業継承を行い、現在は私がオーナーとなっています。
その後、事業はうまく軌道に乗せれたので、事業承継したことはお互いにとって良かったと思っています。
— 現在の体制について教えてください。
現在25名の看護師の方々が登録し、実際に訪問看護に携わってもらっています。東京23区がメインの訪問先なんですが、看護師の方々は隣県に住んでいますし、ニーズはたくさんあるので、もっとエリアを拡大したいと考えています。
— どのような業務が中心になりますか。
私自身は精神科を中心に看護サービスを提供していますが、身体看護や難病対応など専門的な知識をもったスペシャリストが在籍していて、介護保険も扱っています。
医療機関から訪問看護指示書を受けて看護師が訪問しています。また、点滴や採血業務などの一般的な人材支援業務も請け負っていて、最近では、イベントの救護業務を引き受けました。自費でプライベート看護を提供するのではなく、クリニックの看護業務の下請けを行っております。
幸福度向上を目標に
— スタッフの幸福度に重点を置かれていますね。
はい、収入が増えると気持ちに余裕ができるという過去の原体験から、看護師自身の幸福度が上がることで、看護サービスの質が上がるとわかっています。訪問看護師の幸福度を向上させ、看護の質の向上に努め、幸せの輪を広げていきたいと考えています。
そして、質の高い看護サービスを受けた患者さまの口コミによってどんどん利用者を増やし、売上を伸ばすことによって、また事業を拡大することができます。事業拡大にて得た収益を再投資し、さらなる企業利益に繋げていき、最終的に事業拡大に伴う社会貢献が目的です。
現在は限られたエリアでの訪問看護しか行えていません。事業を拡大させて新しい事業を展開したいと考えています。それが訪問看護ステーション併設の病児保育なんです。
ビジネスモデルはすでに構想しており、ニーズがあるのは間違いないので、働いている方のためのサービスを提供して幸せな人たちを増やし社会貢献したいと考えています。
— 「出張看護ステーション」の目指すところを教えてください。
私の想いに共感して手伝ってくれている看護師、まずは5人に年収1,000万円になってもらいたいです。前述のとおりですが、経済的ゆとりは最終的には良質な看護になるからです。そのために、広告戦略を行って認知拡大にも努めていますし、そこからサービスを使ってもらい継続的な信頼関係を築いて、安心して訪問看護サービスを利用していただきたいです。
私は看護師が患者さんにとっては、最も身近で重要な存在だと思っています。というのも、入院時に一番近くでお世話をするのは看護師だからです。
現在の医療では早期退院が基本となっており、退院すると看護師との関係がなくなってしまいますが、訪問看護であれば継続してお世話をすることができるので、そんな世界を実現できるように、訪問看護や自社サービスの普及啓蒙につなげていけるような情報発信を行っていきたいです。
— 地域住民へのメッセージをお願いします。
まだまだ訪問看護の認知度が低いことに非常に残念な想いを持っています。私たち自身ができることは知っている方、イコール目の前の患者さまになってしまいます。
手の届く範囲が拡がれば、もっと幸せにできる人は増える、そこを実現するにあたっての情報発信を行っていきますので、ぜひ、その情報に触れてください。
そして、困っていることがあれば、何なりと相談してください。
よろしくお願いいたします。
 
プロフィール:
水本大勝(みずもとだいかつ)
水本大勝(みずもとだいかつ)
一般社団法人出張看護協会 理事長/出張看護ステーション「出張看GO!」所長
経歴:
2003年 高校卒業後、医療業界へ。精神科病院などで勤務しつつ看護師取得
2017年 自衛隊佐世保病院
2023年 一般社団法人出張看護協会 設立
2024年 出張看護ステーション「出張看GO!」 開業