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【PICK UP!在宅医療機関 009】ふたば在宅クリニック 石井成伸理事長 最終更新日:2025/01/07

【PICK UP!在宅医療機関 009】ふたば在宅クリニック 石井成伸理事長
注目の在宅医療機関へのインタビュー取材「PICK UP!在宅医療機関」の第9回目は2017年に埼玉県久喜市にて「ふたば在宅クリニック埼玉院」を開業、その後、東京、千葉と展開され現在6拠点を運営されている石井成伸理事長です。開業までの道のり、現在、そして今後の在宅医療にかける思いを熱く語っていただきました。
在宅医療の不足感から訪問診療の道へ
— 医師をめざしたきっかけについて教えてください。
父が開業医だったので、子どもの頃から医療は自分にとって身近なものでした。医師になろうと思い始めたのは、高校生の頃ですね。
きっかけは交通事故の現場に遭遇したことでした。私の目の前で高齢の方が車にはねられてしまったということがあったんです。あまりにも突然のことで私も気が動転したのですが、医師だった父に電話をかけると、「落ち着いて救急車を呼びなさい」と冷静に指示してくれたんですね。それで、医師ってすごいなと思ったんです。命の危険があるという危機的な状況でも、冷静に判断して対処していくというところに、憧れを感じるようになりました。
学生時代はずっと野球一筋で過ごしていたので、猛勉強して医学部へと進学し、医師の道へ進むことになりました。
— 医師としての経歴や注力していた疾患は?
東京女子医科大学病院 で研修を終えた後、第一内科に配属となり、呼吸器内科を専門として経験を積みました。今後は高齢社会において、肺や呼吸器系の疾患を診ることができる医師へのニーズが高まってくるのではないかと思い、呼吸器内科の分野へと進むことに決めました。
思えば、医師になって割と早い段階から、高齢社会への意識はあったのだなと思いますね。後に在宅医療の道へ進んだのも、私にとっては自然な流れだったのかなと思います。
東京女子医大から出向で、埼玉県の済生会病院へも行きました。そちらでは、肺がん、間質性肺炎、肺気腫など様々な疾患を抱える患者さんの診療にあたりました。この出向先での経験が、在宅医療を志すきっかけになりました。
当時、埼玉県は人口に対する医師数が日本一少ない地域だと言われていたんですね。私も、実際医療現場にいてそれはすごく感じていました。病床や施設の空きが出にくく、自宅で療養せざるをえない方が多いにも関わらず、訪問診療のできる医院がないに等しい状況。これではいけないと一念発起し、久喜市にて訪問診療事業を始めることにしました。
始まりは3名の小さな事業所だった
— 2017年に医療法人を立ち上げられて、当初はどのような体制でされていたのでしょうか。
最初はたった3人からのスタートでした。私と事務1名、助手1名という体制でした。500日連続オンコール、一晩で4人の方を看取ったこともありました。今思えばかなり大変だったと思います。本当に体力勝負といいますか。でも、あの頃の経験が今に生きているとは思います。
やはり時代の流れで訪問診療へのニーズは次第に高まり、患者数もどんどん増えていきました。そこで医師やスタッフを増やすなど、人員を見直していった感じです。
質の高い医療を提供していくためにも、人員体制は強固にしておく必要があると思い、医師1名に対して看護師が2名つくといった体制で、診療にあたるようにしています。
地域で連携することで継続的な在宅医療を実現したい
— 地域に密着した医療を展開されていますが、その思いへ至った経緯を聞かせてください。
私が思い描いている在宅医療のあり方というのは、一つの事業所だけが、その地域の在宅医療を一手に引き受けるというやり方ではないんです。地域の訪問看護ステーションや、居宅介護支援事業所などと協力してやっていくことで、地域における在宅医療の持続性が保たれるのではないかと思っています。
極端な話、万が一当院がなくなってしまったとしても、地域の中で在宅医療の体制が上手く機能するようにしていきたいです。なので、あえて当院では訪問看護などをやらずに、訪問診療だけに特化することにしています。事業所は違えど、みんなで協力して地域の在宅医療をつくっていこうという感じです。
迅速な対応と人材、設備の充実
— 貴院の特色としてダブルオンコールを実践されていますが、どのような体制なのでしょうか。
24時間365日、患者さんにいつでも迅速に対応できるように、医師と看護師の2名体制でオンコール対応しています。2名でオンコール対応する体制は当院の強みだと思いますし、こだわっているところではありますね。夜間や休日でも対応できるようにしています。
— 設備の充実や、複数科の専門医師の配置にも注力されているのですね。
できるだけ多くの種類の疾患を診療できるように、様々な診療科目の専門医を採用して、配置しています。非常勤の医師も含めると、診療科目は皮膚科や精神科などにも対応できており、多岐に渡る診療ができているのではないかと思います。
設備に関してですが、例えばレントゲンは最新型の携帯型X線撮影装置を使用するなど、できるだけ最新で、性能のいい機器を取り入れるよう心がけています。在宅でありながら、病院に通院するのと変わらないレベルの医療を提供していきたいという思いがあります。
携帯型X線撮影装置
— 診療地域はどの辺りを中心にされているのでしょうか。
久喜市をはじめとする埼玉県の各地域、私の地元である千葉県佐倉市、八千代市、あとは東京に3ヶ所医院を構えていて、計6ヶ所で訪問診療を展開しています。
久喜市から始まって、徐々に診療地域を広げていった感じです。まだ訪問診療が普及していないところへ参入し、地域と連携して訪問診療を根付かせていくということをやってきました。
今後も、北習志野や本八幡などで新たに事業を展開していくことを計画していますが、新たに訪問診療を始めることは、高齢化が進んでいる中で、訪問診療へのニーズはますます高まってきていると感じているので、地域貢献の一つだと思っています。
— 医師やスタッフさんの人事の面で工夫されていることはありますか。
当院では医師やスタッフに対して、数値化した人事評価制度を取り入れています。具体的には、受け持っている患者さんの数や、往診回数、患者さんからの評価なども含めて数値化し、評価するということを行っているんですね。評価基準を明確にすることで、各々のモチベーションの向上にも繋がっているのではないかと思っています。
これからの在宅医療について思うこと
— 在宅医療のどのようなところに課題を感じられていますか。
今後、在宅医療の分野が伸びていくためには、やはりそこで働く方々の労働環境を充実させていかないといけないのではないかと感じています。
オンコール対応や夜間診療など、医師や看護師、スタッフは大変な環境で働いていると思います。基本的なことではありますが、夜間手当などの適正な支給や、シフト体制の整備など、働きやすい環境づくりが大事なのではないでしょうか。これは組織全体で取り組んでいかなければいけないことだと思っています。
— 石井先生が目指す在宅医療とは、どのようなものでしょうか。
先ほども少しお話しましたが、地域で連携して、在宅医療を成長させていくことが理想ですね。当院ももちろん全力で頑張りますけれど、他の訪問看護ステーション、施設、病院などと連携して協力し合いながら、地域に在宅医療を普及させていきたいと思っています。結果的に、それが一番の地域貢献になるのではないでしょうか。
— 最後に、地域住民の方へメッセージをお願いします。
在宅医療や訪問診療に関しては、まだよく知られていないところがあると思いますが、私たちはこれらの医療を通じて、地域の皆さまを支えていけたらと思っています。
当院ではいつでもご対応できる体制を整えておりますので、お困りごとがありましたら、いつでもお気軽に、お電話やメールなどでお問い合わせください。

爽緑会グループ ふたば在宅クリニック
〒106-0032
東京都港区六本木7-8-7 ハイホーム六本木ビル3階
六本木本部
TEL:03-5843-0151
WEB:https://www.futabaclinic.jp/
[東京]
錦糸町院
新小岩院
北千住院
[千葉]
佐倉院
八千代院
[埼玉]
埼玉院
石井成伸理事長のプロフィール
経歴:
2008年 聖マリアンナ医科大学 卒業、東京女子医科大学病院 初期臨床研修医
2010年 東京女子医科大学病院 第一内科
2012年 社会福祉法人恩賜財団済生会支部 埼玉県済生会栗橋病院 呼吸器内科
2017年 ふたば在宅クリニック 開設
2018年 医療法人社団 爽緑会 ふたば在宅クリニック 法人化
資格・役職等:
日本内科学会認定 内科認定医
日本呼吸器学会認定 呼吸器専門医
がん緩和ケア研修会修了医
認知症サポート医
難病指定医
臨床研修医指導医