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Nadeshiko:渋谷区・港区・目黒区を中心に展開する訪問介護美容サービス 最終更新日:2025/06/10

Nadeshiko:渋谷区・港区・目黒区を中心に展開する訪問介護美容サービス
個別性や多様性が重視される昨今、在宅医療現場でもさまざまなニーズに対応した訪問自費サービスが注目されてきています。
今回は渋谷区・港区・目黒区を中心に訪問介護美容サービス「Nadeshiko」を運営されているケアビューティスト大野晃子代表です。これまでの歩み、訪問介護美容サービス、そして今後の介護・福祉サービスに向ける思いを熱く語っていただきました。
大野代表のあゆみ
— 大野さんのルーツを教えてください。
生まれは東京の成増ですが、育ちは埼玉の川口です。一人っ子で、父は運送業、母は私が中学生になるまで事務の仕事をしていました。
幼い時から洋服が好きで、洋服を作る人に憧れて、中学・高校と家政科に進み、田中千代ファッションカレッジで服飾デザインを学びました。実は美容師にも興味があったのですが、「作りたい」という思いが強く、服飾の道を選びました。専門学校では、2年間の基礎課程に加え、より専門的な知識を深めるため3年間の専攻科にも進みました。
卒業後は、憧れのブランド「ラストシーン」で販売員としてキャリアをスタートしました。当時はバブル崩壊後でしたが、高価な洋服もよく売れる時代でした。販売の傍ら、パタンナーを目指していましたが、なかなか機会に恵まれず、その後、縫製を手がけるアパレル会社に転職しました。しかし、結婚・出産を機に、6年ほど育児に専念することになりました。
その後の2004年に復職し、7年間ほど婦人服の縫製に携わりました。パターンも書けましたが、主にミシンを踏む仕事でしたね。当時はまだ、日本製のアパレル製品もわずかに残っていましたが、徐々に海外生産へとシフトしていく時代でした。
— 2011年には、意外にも大手寿司チェーンAに転職されていますね。
勤めていたアパレル会社が倒産してしまい、子供もまだ小さかったので、時間的な融通が利く仕事を探していたところ、オープニングスタッフの募集を見つけたのがきっかけです。接客から厨房業務、パートリーダーとして店舗運営まで、幅広く経験させていただきました。クレーム対応など、様々なお客様と接する中で、コミュニケーション能力が鍛えられたと感じています。
本当に様々なタイプのお客様がいらっしゃったので、どんな方にも対応できる自信がつきました。また、パートながら社員と同様の研修やテストを受けた経験は、責任感や問題解決能力を高める上で貴重な財産となっています。
介護との出会い、そして美容への再燃
— お父様の怪我がきっかけで、介護の世界に足を踏み入れられたそうですね。
2013年のことでした。父が仕事中の事故で頸椎を損傷し、介護が必要になったことがきっかけです。介護未経験だった私は、不安を感じ、すぐにヘルパー2級(現在の初任者研修)の資格を取得しました。半年間の通学で、座学だけでなく、デイサービスや入居施設、訪問介護など、様々な現場での実習を経験しました。
本当に色々な方々がいらっしゃって、一人ひとりに合わせた関わり方が重要だと痛感しました。特に印象的だったのは、お風呂の介助です。入浴を嫌がるご利用者さんに、いかに気持ちよく入っていただけるか、試行錯誤の連続でした。言葉のかけ方一つで、相手の反応が全く変わる。コミュニケーションの大切さを改めて学びました。また、ご利用者さんの過去の経験やパーソナリティを理解することで、より良いケアにつながるということも学びました。信頼関係を築くためには、表面的な会話だけでなく、心を通わせることが大切だと感じました。
— 介護現場では利用者さんとの信頼関係が重要かとよくお聞きしますが、信頼関係を築くために何か特別なことをされていましたか?
私は、たぶんすごく会話をするんです。お風呂の中でも、ずーっと喋っています。マンツーマンなので、秘密の話を聞けたりすることも。私たちからしたら、ご利用者さんの意識を失わせるようなことは絶対にあってはならないので、そうならないためにも「お湯熱くないですか?」とか、色々な日常の話をします。自分の息子の話や娘の話もしますよ。そうやって、相手から話を引き出すために、自分のことも話すんです。本当に大変なこともありましたが、すごく面白かったです。
ヘルパーさんの中には、そこまで会話をしない人や関係を築けていない人もいますね。同じ方をお風呂に入れるにしても、担当する人によって意識を失ってしまうことがあったりするんです。入れる側も怖いし、入れてもらう側も不安だから。「大野さんが入ってくれると安心する」と言ってもらえたりして、頼りにしてもらえたのは嬉しかったですね。やっぱり、会話って本当に大切だと思います。
ご利用者さんの家庭環境も、会話の中から見えてくることがありますし。一人暮らしの方なら、家に帰っても誰とも話さないということもあるので、デイサービスでどれだけ話せるかが重要だったり。入院して退院してきた方の、入院前後の様子の変化を見ながら話を聞くことで、何か心配事がないか察したり。リハビリを待っている時などに声をかけて、ちょっとした変化に気づいて話しかけたりしていました。「なんでわかるの?」と驚かれることもありましたが(笑)。
— 7年間のデイサービス勤務を経て、再び美容の世界へ戻られますが、そのきっかけは何だったのでしょうか?
きっかけは、友人にしてもらったハンドエステでした。デイサービスの仕事が体力的に、特に腰に来ていたということもあったんですけど。ハンドエステの気持ち良さに感動し、「これを顔にもやったらすごいだろうな」と思ったんです。美容への興味が再燃し、B社というメーカーのフェイシャルエステに関する資格を取得しました。顔だけでなく、首やデコルテ(首から肩、胸元にかけての部位)、手、背中など全身のケアができる技術に加え、オイルトリートメントとメイクアップの資格も取得しました。
恵比寿のサロンで資格を取得し、その後、池袋のサロンで業務委託として働きました。2024年3月には、社内の技術大会で最優秀賞を受賞することができました。大会では、角質ケアの技術と、モデルさんに合わせたフルメイクを30分で行う技術を競いました。どうしてもこの賞が欲しかったので、3か月間ものすごく練習しました。メイクのデザイン画を描いて、そのデザインと実際にメイクした仕上がりを照らし合わせながら、色や技術を細かくチェックしました。衣装もメイクに合うようにモデルさんと何度も打ち合わせをして臨みました。この受賞は、独立への大きな自信につながりました。
最優秀賞受賞時の記念写真(モデルさんとともに)
独立、そして訪問介護美容へ
— 「Nadeshiko」を立ち上げられたんですね。
「Nadeshiko」という名前には、日本の女性の持つ芯の強さと、凛とした美しさを兼ね備えたイメージを込めました。現在は、銀座と表参道のレンタルサロンを中心に、顔・首・デコルテ・手のエステやメイクアップなどのサービスを提供しています。
皆さん、角質ケア後のリアクションがすごいんです。「すごく柔らかくなった」「喜びがすごい」「指が滑らない」とおっしゃってくださったり。メイクも、普段のメイクとは全然違うと喜んでいただけます。私は必ず、普段どんな色のメイクをしているか、どんなメイクが好きかをお伺いするんですが、皆さん大体茶系が多いんです。
でも、同じ茶色を使うにしても、プロがやると全然違う仕上がりになる。「こんなに違うんだ!」と驚かれたり、ツヤ感を出すことで若々しくなったり。施術後、「せっかくだからどこか寄って帰ろう」という方が多かったり、デート前に来て、そのまま出かけられる方もいらっしゃいます。来られた時と帰られる時の顔が全然違うと、本当に嬉しいです。
— 訪問介護美容へ進出、その思いをお聞かせください。
Nadeshikoの事業の中で訪問介護美容を始めることにしました。やはり、もともと介護の仕事をしていた経験が大きいですね。その時のことですが、美容に関心があるおばあちゃんと、経済的な理由でそれができないおばあちゃんの間に、大きな差があるのを感じていました。でも、本当は誰もが綺麗になりたいはずなんです。認知症の方でも、「ちょっと綺麗にしてあげるよ」と言うと、すごく喜んでくれますし、変われば笑顔になる。私たち美容に携わる人間は、みんなを綺麗にしてあげたいという気持ちを持っているんです。
そして、そういうことに気を遣っている人の方が、長生きする傾向があると感じています。特に富裕層の方などは、当たり前のように美容にお金をかけられますが、そうでない方にも、何かできることがあるのではないかと考えていました。女性はいつまでも綺麗でいたいものです。これからますます高齢化が進む中で、元気なまま最期を迎えてもらうためには、周りの環境も美しくあるべきだと思うんです。少しでもそのお手伝いができればと思っています。
基本的にはすべての人をきれいにという思いですが、仕事として成り立たせるためには、ある程度経済力のある層をターゲットにせざるを得ない部分もあります。まずは、ハイクオリティなサービスを提供していく中で、将来的には、そうでない方にも何らかの形で貢献していきたいと思っています。最終的には、みんなが美しくなれる社会になればいいなと。社会貢献というわけではありませんが、できればそうありたいです。
— 訪問介護で行う施術の内容は、どのようなものを考えていますか?
角質ケア、メイクアップ、ハンドケアです。あと、おばあちゃんたちは首のシワやデコルテに年齢が出る方が多いので、そこもケアしてあげたいと思っています。皆さん顔ばかり気にされていますが、実は首やデコルテは一番見られている部分だと思うんです。
おじいちゃんでもおばあちゃんでも、手は施術しやすいので、顔を触られたくないという方には、お話ししながら手をマッサージを行い、心と手の両方を整えることもできます。お話しすることで信頼関係を築き、心の距離を縮めることでマッサージの効果をさらに高めることができるからです。
提供地域は、Nadeshikoと同じエリアで世田谷、渋谷、目黒あたりがいいかなと思っています。港区や中央区もニーズがありそうですね。
— サックス奏者のお友達とのコラボレーションも考えていらっしゃるとか。
趣味でサックスを演奏している友達が、千葉の方で施設を回っているんですが、今度一緒に回ってみようかと話しています。個人宅への訪問もいいですが、施設で音楽を聴きながらハンドケアをするのも素敵だなと思ってます。まずは施術をきっかけに、色々な展開ができればと考えています。看護師の友達にも美容をやっている人がいて、介護の分野で何か一緒にできないかと話しています。
6月か7月くらいから、実際に活動を始める予定です。サックスの友達とも連携しながら、料理研究家の方も施設などで活動されているので、その繋がりも活かせればと思っています。彼女も介護美容に興味を持っていて、「これから絶対に広がる」と言ってくれています。手軽にできるのに、まだその価値が十分に認識されていないと感じているので、どうやって認知度を高めていくかが課題だと思っています。経験があるからこそ、自信を持って提供できるサービスだと考えています。
— 外部への発信はどのようにされていますか?
SNSはインスタグラムをやっています。週に1、2回くらい、ストーリーズを更新しています。この4月から始めたばかりなので、これから積極的に発信していきたいと思っています。今は、メイクのBefore・After写真を投稿して、こういう風にメイクで変われるんだよということを分かってもらいたいです。今後はNadeshikoのサロンと訪問介護美容を分けて投稿していきます。まずは知ってもらって、体験してもらって、綺麗になってもらいたいです。
美を通じて、地域社会に笑顔と活力
— 「訪問介護サービス」の課題や悩みについて教えてください。
課題はやはり、サービスを受けられる方に格差があるという点ですね。一つの施設の中でも、全員が同じようにサービスを受けられるわけではありません。ご本人がやりたいと思っても、ご家族が必要ないと判断すれば、実現できないこともあります。そこは大きな課題だと感じています。
私たちが訪問介護美容を行うにあたっては、直接お肌に触れるため、施術者の知識と注意が非常に重要だと考えています。お肌の状態をしっかりと見極め、その時の状況やアレルギーなどを把握できる人でなければ、トラブルにつながる可能性があります。特に認知症の方の場合、ご自身でアレルギー歴などを伝えられないこともあるため、ご家族や施設の職員の方との連携が不可欠です。事前の丁寧なヒアリングが、トラブル回避のために最も重要だと考えています。
また、訪問する人のコミュニケーション能力も非常に大切です。健常な方と同じようなコミュニケーション能力では不十分で、それ以上の、相手に寄り添う力が必要だと感じています。私自身は介護の経験があるからこそ理解できますが、ただ美容の技術があるだけでは、この点はクリアできないのではないかと思います。人と人との関わりなので、一人ひとりに合わせた対応が求められますし、同じ言葉でも、相手によって受け取り方が違うこともあります。そこが、訪問介護美容の難しさであり、同時にやりがいでもあると思っています。
— 目指している「訪問介護サービス」について教えてください。
まずは、課題として挙げた点をしっかりとクリアできるサービスを提供していくのは当然のこととして、これからこの分野に参入する人たちにも、その重要性を伝えていきたいと思っています。
自分一人でやるのではなく、様々な人を巻き込んで、より幅広いサービスを提供していきたいです。一人でできることには限界がありますが、例えば、誰かと一緒なら、ただ一人で食事をするだけでなく、家族とのホームパーティーを企画したり、みんなで綺麗になって写真を撮ったりすることもできます。そうすることで、ご利用者さんの生活がより楽しくなり、ご家族も巻き込むことができ、サービスの価値はどんどん大きくなっていくと思います。
綺麗になることは、あくまで最初のステップ。その先にある、家族との繋がりや、社会との繋がりを生み出すことを目指しています。老人ホームなどの施設であれば、他の入居者の方々も巻き込んで、一緒に楽しむ企画をしたり、盆踊りのようなイベントの際に、ちょっとメイクをしてあげるだけでも、気分が変わると思います。そのためには、私一人ではなく、他の美容仲間にも声をかけて、みんなで協力していくことが大切だと考えています。最初から一人で全てをやろうとは思っていません。
— 最後に、地域住民の方へメッセージをお願いします。
まずは、気軽に楽しんでいただけたら嬉しいです。色々と難しく考えずに、「どんなものかな?」「いくらかかるのかな?」と心配せずに、まずはちょっと試してみるという冒険心を持っていただけるとありがたいです。綺麗になることに、年齢は関係ありません。それは喜びであり、いくつになっても諦めてほしくないと思っています。
人生100年時代と言われています。80歳の方でも、あと20年あるわけです。その長い時間を、皺くちゃでヨボヨボで過ごすのか、綺麗になって新たなパートナーを見つけるなど、人生を謳歌するのかは、自分次第だと思います。私自身、変な話、お茶飲み友達が欲しいんです(笑)。同性でも異性でも。頼れる友達がいれば、人生はもっと楽しくなるはず。みんなでどこかへ行ったり、毎月ご飯を食べに行く日を作ったりすれば、認知症の予防にもなるし、外出するきっかけにもなります。
年齢を重ねるごとに、人と話すことが億劫になるかもしれません。外出する機会が減ってしまうかもしれません。しかし、美容を通じて、再び人と繋がる喜びを思い出してほしいのです。美しくなることは、自信を与え、前向きな気持ちを生み出します。それは、新たな出会いを引き寄せ、人生をより豊かに彩る力となるでしょう。
私は、美容の力を信じています。あなたの生活に、笑顔と輝きを添えることができると信じています。さあ、Nadeshikoと共に、年齢という枠を超えた、新しい美しい人生を始めませんか?

Nadeshiko
〒150-0013 東京都渋谷区恵比寿4丁目5-13-206
TEL:090-4626-5698
Instagram:nadeshiko10
大野晃子代表のプロフィール
経歴:
1995年 専門学校田中千代ファッションカレッジ卒業
1995年 アパレル会社にて勤務
1998年 結婚
1999年 長男出産
2003年 長女出産
2004年 アパレル会社復帰
2011年 飲食店勤務
2013年 ヘルパー2級取得 板橋区のデイサービス勤務
2020年 アパレル販売勤務
2022年 フェイシャル角質ケア、オイルトリートメント、メイクアップ技術 資格取得、個人事業主として活動
2024年 フェイシャル角質ケア・メイク技術大会最優秀賞受賞
2024年 独立「Nadeshiko」
2025年 銀座・表参道レンタルサロンにて活動
2025年 訪問介護美容スタート
保有資格:
ヘルパー2級
フェイシャル角質ケア・オイルトリートメント・メイクアップ技術資格
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