carebeauty For you..:横浜市を中心に展開する訪問介護美容サービス 最終更新日:2025/05/29

個別性や多様性が重視される昨今、在宅医療現場でもさまざまなニーズに対応した訪問自費サービスが注目されてきています。
今回は横浜市神奈川区、戸塚区、保土ケ谷区、泉区などを中心に訪問介護美容サービス「carebeauty For you..」を運営されている介護美容セラピスト後藤美歩代表です。これまでの歩み、訪問介護美容サービス、そして今後の介護・福祉サービスに向ける思いを熱く語っていただきました。
今回は横浜市神奈川区、戸塚区、保土ケ谷区、泉区などを中心に訪問介護美容サービス「carebeauty For you..」を運営されている介護美容セラピスト後藤美歩代表です。これまでの歩み、訪問介護美容サービス、そして今後の介護・福祉サービスに向ける思いを熱く語っていただきました。
叔父の最期と母のことばー「その人らしさ」に寄り添う看護師になりたい
— 看護師を目指したきっかけを教えてください。
私が高校1年生のときに肺がん末期で入院していた叔父の死と、母の言葉がきっかけでした。優しくてたくましい叔父が息苦しそうに食事もとれず、やせ細ってしまっていて……。それまで「死」を身近に感じたことがなかった私にとって、叔父の姿は衝撃的だったのだと思います。
「人生の最後が痛みや苦しみ、つらさで終わってしまうのは、こんなに悲しいことなんだ」と叔父の最期の姿が心に残っていました。そんなときに母が、「美歩は優しいから、看護師さんが向いてるんじゃない?」と声をかけてくれて。
叔父の最期と母のことばが重なり、「終末期に関わる看護師になりたい」って強く思うようになったんです。

— 聖隷クリストファー大学の看護学部を選ばれた理由はありますか。
日本ではじめてホスピス病棟が開設されたのは、聖隷三方原病院なんです。そのグループ校である聖隷クリストファー大学で、終末期ケアを学びたいと思いました。この大学はキリスト教の教えを大切にしていて、「隣人愛」の言葉があって、「自分を愛するように、隣の人も愛しなさい」という考えが私の思いと重なったんです。
私は「その人らしく過ごせるように、人生の最期まで寄り添いたい」という気持ちがあったので、この大学で学ぶことの意味も感じて選びました(❏ 日本ホスピス緩和ケア協会「20年の歩み」)。

理想の看護を目指して。終末期への想いと歩んだ道
— 大学卒業後の経歴を教えてください。
ホスピス病棟で働くには看護師の臨床経験3年以上が目安だったので、大学卒業後まずは聖隷三方原病院の内科病棟で働きはじめました。ただ、想像以上に大変でしたね。私のいた内科病棟は医療処置に追われる毎日で、「人に寄り添いたい」という自分の気持ちと現実のギャップに戸惑うことばかりだったんです。「ゆっくり患者さんと関わりたい」と考えるようになり、2000年までの3年間ほど務めてから療養型の病院へ転職しました。
療養型病院では2年半ほど働いたのですが、だんだん医療処置もやりたい気持ちが出てきてしまって。そんなときに、聖隷横浜病院の新設の話を聞き、「新しい病院の立ち上げにチャレンジしたい」と環境を変えることにしました。

— 新しい病院や病棟の立ち上げは大変だったと思います。実際に働かれてみていかがでしたか。
聖隷横浜病院は、国立病院からの移行であり、スタッフの経歴もさまざまでした。国立病院時代からの職員に加え、他の聖隷グループの病院から異動してきた方や、外部から新たに加わった方など、本当に多様な背景のメンバーが集まっていました。それぞれの方向性や価値観がありますし、ゼロからのスタートだったので、大変なことばかりでしたね。
でもスタッフのみんながついてきてくれて、一緒に病院や病棟をつくり上げていく過程には大きなやりがいと達成感がありました。これまで経験したことがなかったのですが、貴重な体験でしたね。このゼロからなにかをつくり上げていくことに魅力を感じたことも、介護美容をはじめる決意につながったと思っています。
— これまでのご経験の中で、終末期やホスピスに携わる機会がなかったように感じましたが、もどかしさはありませんでしたか。
それがなかったんです。2003年から3年間、聖隷横浜病院に勤めた後、派遣看護師としてさまざまな現場を経験し、最終的には施設で働くことを選びました。というのも、ちょうどその頃から「看取り」が行われる施設が増えてきました。
施設の看護師は、利用者の方が日々を安心・安全に過ごせるようにサポートすることが役割のひとつなので、病院のような慌ただしさがなく一人ひとりとゆっくり関わることができました。ご自宅やご家族と離れて暮らす施設には、不安や孤独を抱える方も多いのですが、そんな方々の思いや声に寄り添う時間がありました。私たちスタッフは利用者の方々が生活する空間で過ごすので、まさに家族のような関係性が築けるんです。その中で「最期の時間をどう過ごすか」を一緒に考えることができました。
「最後はここで過ごしたい。病院にはいかなくていいよ」「飲めなくなってもなにもしないでね」と、一人ひとりそれぞれの希望に寄り添いながら、最期を支えることができました。
その経験を通して、「私のやりたかったことはホスピスじゃなくてもできるんだ」と気づくことができたんです。施設だからこそ感じることができたやりがいや関係性ばかりで、もどかしさはありませんでしたね。
母が教えてくれた、介護美容の“魔法”
— 介護美容研究所へ通うことになったきっかけを教えてください。
自宅で母の介護と看取りをしたことがきっかけです。私が派遣看護師として働いているときに、母が呼吸器疾患になってしまって。もともとおしゃれが大好きな母だったのですが、酸素ボンベが手放せないため、外出はほとんどできない状態でした。息苦しくつらそうな母をみて、「私になにかできることはないか」と悩んでいた中で、母にネイルをしてあげたんです。
すると母が「こんなことしてもらったのはじめて。本当に幸せ」って言ってくれて、私もとっても嬉しくなって。そして「ネイルした手をみてると苦しくないよ」って話すんです。私も信じられなくて「本当に?」って聞くんですけど、「本当に苦しくないよ」って微笑む母をみて、まるで魔法みたいだと思いました。

— 介護美容は、苦しんでいる方々にとって“魔法”になるのかもしれませんね。
本当にそうだと思います。実際に介護美容を通して「つらさがやわらいだ」「楽になった」と言ってくださる方はとても多いんです。たとえば、疾患による手の震えがある方にハンドトリートメントを行うと、施術中と施術後に震えが収まったり、軽減したりすることもあります。ネイルをした母が、その手を見つめながら穏やかな表情をしていた姿を思い出すと、きっと「生きる力や生きる喜び」を感じてくれていたのだと思いますし、これこそが介護美容の持つ魔法なのかもしれません。私の人生の大きな決断は、いつも母がきっかけですね。
2022年に母は亡くなりますが、母に教えてもらった介護美容の力をたくさんの方へ伝えたいと思い、2023年の10月から介護美容研究所に通いました。

— 介護美容研究所では、どのようなことを学ばれたのですか。
介護美容研究所では1年間みっちりと美容に関すること全てを学びました。エステにネイル、メイクの技術はもちろんですが、ご高齢の方が対象のため高齢者特有の注意点や観察ポイントを踏まえた講義でした。
疾患によっては、エステでの指圧が負担になってしまったり、トリートメントでの摩擦が肌に刺激となるなど、高齢者への美容施術に必要な専門知識を身につけることができました。実習もあったので、実践力をつけることができましたね。

心をこめた介護美容で優しさを感じてもらいたい
— 「carebeauty For you..」に込められた想いを知りたいです。
「you」にはふたつの意味が込められていて、ひとつが英語の「あなた」、もうひとつは漢字の「優(ゆう)」です。この「あなた」と「優しさ」をあわせて、「心をこめてあなたに優しさを」という想いを表しています。
ふと天から降ってきた名前だったのですが、実は母が好きだったアーティストの高橋真梨子さんの曲名と一緒だと父が教えてくれたことを思い出して。これはきっと運命だなって感じて「carebeauty For you..」に決めました。
— 介護美容の内容を具体的に教えてください。
対象としている方は、在宅で暮らしているご高齢者とそのご家族です。私自身、母の介護を経験する中で、身体的にも精神的にも大きな負担を感じていました。
だからこそ、ご家族の方にも自分を大切にする時間をもってほしいと考えています。メニューはエステ・ネイル・メイクの美容メニューと美容レクリエーションがそれぞれ60分14,300円(税込)です。それに加えて肥厚爪のケアも資格を取得しており、こちらは30分8800円〜(爪の状態により所要時間が異なります。)。
美容メニューとレクリエーションはお試し体験60分を半額の7,150円(税込)で提供させていただきます。
対象地域は神奈川区、戸塚区、保土ケ谷区、泉区、南区、港南区としておりますが、横浜市全域、藤沢市もご相談可能です。訪問エリアが半径20km以内の場合は、交通費はサービス料に含まれております。それ以上の距離につきましては、実費分を別途ご請求させて頂きます。Instagramを中心に私の思いや訪問の様子、お客様のお声などを発信していますので、ぜひチェックしてください。

— 印象に残っているお客様とのエピソードはありますか。
在宅療養中の認知症のお客様とのエピソードが印象に残っています。もともと外出が好きな方でしたが、もの忘れやADLの低下もあり、外出頻度が減ってしまっていました。
私がはじめてお会いした時も「もう年だからなにもしなくていい」と話され、気持ちも沈んでいるように感じました。でも介護美容を受けてもらう中で、「ちょっと出かけてみようかな」と少しずつ活気が出てきたり、前向きな言葉が聞かれるようになったんです。もの忘れがあっても「次の訪問美容はいつ?」とご家族に確認されたりするほど楽しみにしてくださっています。
介護美容を施術するときには、テーブルセッティングにこだわっています。まずはテーブルにクロスをかけていつもとは違った雰囲気にして、そこにお花を飾ったり、鏡もハートやパールなどをあしらった特別感のあるものにしています。お客様にはお名前と本日の施術メニュー、私からのメッセージを添え、感謝の気持ちを伝えるようにしています。
施術前や施術中から喜びを感じてほしくてはじめてみたのですが、とても楽しみにしてくれていて。特にメッセージが喜ばれていて、毎回楽しみにしてくださっています。お客様の笑顔に私自身が元気をもらっていて、「これが私のやりたかったことだ」と実感させてもらっています。

笑顔と安らぎを届けたいー“生きる力”を支える介護美容のかたち
— 介護美容の課題や悩みはどのようなものがあると考えていますか。
そもそも介護美容の認知度は、まだまだ低いと感じています。言葉として知っている人は増えてきてるような印象がありますが、自宅で受けられることまで知っている人は少ないのが現状です。
そのためもっと多くの方に知ってもらえるよう、イベント参加やメディア出演にも力をいれていきたいです。先日は「ゆめのたね」というインターネットラジオに出演させていただき、7月にも出演を予定しているので、介護美容の魅力をラジオで伝えられたらって思っています。
— 目指している介護美容について教えてください。
私の目指す介護美容は、美しく外見を整えることだけではなく、「生きる力や生きる喜び」がうまれ、その先にある「笑顔と安らぎ」を感じてもらうことです。高齢になると加齢や病気による苦痛、死への不安、恐怖、周囲の変化など喪失感を感じてしまうことがあります。そうした気持ちに寄り添いながら、看護師として培ってきたコミュニケーション力を生かし、一人ひとりの心を支えられる介護美容を提供していきたいです。
もうひとつ目指していることは、介護美容を医療の中のひとつにできればと思っています。たとえば、ホスピスでは医師や看護師、リハビリ専門職、ケアマネージャーなどさまざまな役割の方々が連携して患者様を支えています。その中に介護美容を通した心のケアという視点から関われたらと思っています。
もちろんとっても難しいことです。けれども、介護美容を通して得られる「笑顔」や「心の安らぎ」は、医療が目指すものと同じであり、それだけの価値があると信じています。
— 笑顔や安らぎは医療やケアにおいて欠かせないものですよね。目標にむけてどのような取り組みをされていますか。
実はもう一度きちんと、終末期にある方とそのご家族に対するケアや関わり方について勉強したくて、終末期ケア専門士と家族ケア専門士の資格取得に向けて勉強中です。医療現場には制約も多いので、なかなか介護美容が関わることは難しいです。
でも私のように看護師資格をもち介護美容をしている人は多くないので、看護師資格と終末期に関する専門的な資格を活かして、アプローチできればと思っています。その人らしさに寄り添いながら、介護美容を届けられる環境を少しずつでも増やせるよう頑張ります。

— 最後に地域のみなさまにメッセージをお願いします。
介護美容を通して生きる力や喜びを感じ、毎日がより豊かになり笑顔が増えていくようなお手伝いをしていきたいです。ご本人はもちろん、ご家族にとっても、心がふっと緩む癒やしの時間はとても大切だと、母の介護をしているときに強く感じました。
やはり、一番安心できるのは、ご自宅という“いつもの場所”です。
そんな安心感のある空間で、大切なご家族と共に「心に残る幸せな瞬間」を重ねていけるよう、サポートさせていただきます。どうぞお気軽にご相談ください。
carebeauty For you..

〒221-0056 神奈川県横浜市神奈川区金港町5-14
TEL:090-2684-8149
TEL:090-2684-8149
Instagram:miho_carebeauty_life
後藤美歩代表のプロフィール
経歴:
1997年 看護師・保健師免許取得
1997年 聖隷三方原病院勤務 消化器内科病棟
2000年 西山病院勤務
2003年 聖隷横浜病院勤務 消化器内科・腎臓内科/泌尿器科・整形外科病棟
2008年 派遣にて勤務 病院・特別養護老人ホーム・有料老人ホーム
2024年 有料老人ホーム勤務、介護美容研究所横浜校卒業
2025年 carebeauty For you.. 事業スタート
1997年 看護師・保健師免許取得
1997年 聖隷三方原病院勤務 消化器内科病棟
2000年 西山病院勤務
2003年 聖隷横浜病院勤務 消化器内科・腎臓内科/泌尿器科・整形外科病棟
2008年 派遣にて勤務 病院・特別養護老人ホーム・有料老人ホーム
2024年 有料老人ホーム勤務、介護美容研究所横浜校卒業
2025年 carebeauty For you.. 事業スタート
保有資格:
看護師
保健師
福祉爪ケア専門士3級
看護師
保健師
福祉爪ケア専門士3級
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