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【PICK UP!若手経営者 003】ALLXIA(オルシア)訪問看護ステーション 巣山裕之介代表 最終更新日:2024/12/22

【PICK UP!若手経営者 003】ALLXIA(オルシア)訪問看護ステーション 巣山裕之介
在宅医療界の若手経営者へのインタビュー企画「PICK UP!在宅医療界の若手経営者」。第3回目は2023年4月に東京都品川区にて「ALLXIA(オルシア)訪問看護ステーション」を開業された巣山裕之介さんです。これまでの道のり、現在、そしてこれからの夢にかける思いを熱く語っていただきました。
東京で社長になりたい思いのもと
— これまでの経歴について教えてください。
生まれは岐阜県、育ちは名古屋市で、高校までは名古屋市で過ごしました。大学進学で上京するのですが、事情があって大学を中退し、そこから九州で様々な事業をしていました。主に飲食店や自動車販売などを仲間で立ち上げて行っていました。接客が特に得意だったので飲食店をメインにがんばっていて、結構繁盛しましたね。
新しい土地に飛び込んで、今考えたら、よくやったな、と思います。ただ昔から漠然と「東京で社長になりたい」という思いが大きくなって、お店を人に譲って、東京に戻りました。
— 東京に戻っての生活を教えてください。
ALLXIA(オルシア)訪問看護ステーションをオープンするまでに2社を経験しています。一般的なビジネススキルやビジネスマナーを一から学ぼうと思い、まずは修行のため、1社目は転職支援の会社で社会のイロハを知り、2社目は訪問看護ステーションのコンサル会社で今後の医療介護の事業者の営業サポートを行っていました。
— 開業に至ったきっかけについて教えてください。
2社目のコンサル会社では全国中の訪問看護事業者さんのお世話になり、お蔭さまでトップセールスの業績をあげさせていただきました。各事業者にはさまざまな背景があり、課題もばらばらで、そこを深く知ることができて、自分でもチャレンジしたい思いが日に日に強くなっていき、2023年4月に「ALLXIA(オルシア)訪問看護ステーション 」を開業しました。
スタート時は、自分の高校の同級生が看護師で訪問看護をやっていて、ちょうど離職したタイミングで、まずは管理者になってもらい、そこから人集めをはじめた感じです。
近くのケアマネージャーさん、病院とかクリニックにお願いしに行く、基本的に足で稼ぐ営業の繰り返しでした。これは今も継続しています。
ALLXIA(オルシア)訪問看護ステーション
三方良しの精神にて
— ALLXIA(オルシア)訪問看護ステーションのモットーを教えてください。
ALLXIA(オルシア)の語源が、ALL「すべて」、AXIA「価値のあるもの」、XIA「しあわせ」の3つから成り立っており、「すべての人に価値のある幸せを」という理念の元、ご利用者さまや家族、看護師などのスタッフ、ケアマネージャーやヘルパーなど各ステークホルダーのご三方が良しになる「三方良し」を心掛けています。
一般的な訪問看護に加え、24時間体制、小児科、精神科にも注力し、利用者さんとのコミュニケーションを大切にし「また会いたくなる訪問看護」、そして「断らない訪問看護」も目指しています。
— 開業されて1年半ですが、実際に自分で運営してみて感じたことはありますか。
実際にやってみると、コンサルの時とは違って、実際の現場に入るので現場の苦労がよくわかり、こんなに苦労していたんだ、ということに気づきました。そこを課題として、日々解決にあたっています。
あとは充実感がありますね。
地域のお客様へ寄り添ったサポートを提供できている喜びを感じますし、利用者さんからの「ありがとう」が他の業種でいただくものとは質が違っていて、心からの言葉と感じますし、「次の訪問を楽しみにしています」というお言葉をいただくこともあり、とてもやりがいを感じています。
— とはいえご苦労もおありかと思いますが?
そうですね、看護師さんの特性上、離職のリスクが大きいこと、そこは苦労していますね。別にここでなくてもいくらでも働き場があるという状況なので、そこに対しては、企業理念を浸透させること、明確な目標設定にて支えていくこと、働きやすい環境であることなど、今後やっていかなきゃいけないことだと思っています。
あとは、訪問看護ステーションの経営は、利用者さんの数、採用、資金繰りの3点で回っていくものなので、それぞれをどうやって安定させていくかについて日々考えていますね。
2024年初詣にて
「集まりを作ること」に注力
— 現在の体制について教えてください。
医療スタッフは、看護師4名、理学療法士2名、作業療法士1名の計7名です。あとは医療事務が1名、役員2名になります。
利用者さんが増えたら、スタッフを増やしていく、でまた足りなくなったら、また増やしていく、そんな体制で回していっています。
楽しく、明るく、元気に、をモットーに日々、訪問看護に励んでいます。
今後は口腔ケア、嚥下困難の方へのケアのニーズが高まってきているので、言語聴覚士さんを増やしていきたいですね。
— では、巣山さんは日々どのようなことをされていますか。
私は経営全般、ケアマネージャーさんや医療機関への営業的な動きをはじめ、スタッフのフォロー、経理などバックオフィス的なことを担当しています。
医療者があまり関わることができないことをするのが自分の使命だと考えていて、自分の得意分野である「集まりを作ること」にも注力しています。
その一つとして、品川区医介塾の開催を月1回行っています。
医介塾とは医療介護従事者の連携を深めるための会であり、地区ごとにあり、1年前の2023年11月に品川区の塾長になり、開催の企画運営を行い、毎回20~30人の方に集まり、繋がりを生んでいます。参加者からは「医介塾に行って良かった」とよく感謝されますね。
品川区医介塾の参加者と
また、看護師さんやケアマネージャーさんへの訪問看護の勉強会「ALLXIA(オルシア)勉強会」も月1回開催して、10~30人くらいの方に参加いただいています。
先日は品川区とコラボして「オレンジフェスタ」という認知症イベントでのマラソン大会の運営に参加していて、自治体関連を含め今後もいろいろと参加、協力させていただく予定です。
オレンジフェスタ(品川区)
ALLXIA(オルシア)という船での大航海を目指して
— これからの事業展開について教えてください。
どんどん事業展開していきたいですね。たくさんの利用者さまをフォロー、サポートできるように拠点、業種を増やしていきたいです。
まずは、訪問看護ステーションの拠点を3年後には10拠点にすることが目標ですね。
現在はまだ1拠点ですが、仲良くさせてもらっているクリニックさんが増えてきたので、2拠点目がみえてきたところです。そこからどんどん加速させていきたいです。
そして、業種的にも。例えば、訪問介護だったり、居宅介護支援事業所だったり、それこそ施設運営とかもお金に余裕ができたら、やってみたいですね。
あとは、ひとりで成し遂げることには限界があるので、仲間をどんどん増やして、大きなことを達成していきたいですね。「ALLXIA(オルシア)」という「船」に乗ってくれるクルーを医療職はもちろん、それ以外の方々も含め、増やしていきたいですね。
— 巣山さんが感じている訪問看護の課題について教えてください。
これはどうにもできないことですが、診療報酬や介護報酬の訪問看護に対する算定が下がっていることですね。体力がないステーションが淘汰される状況には一抹の不安を感じています。
また、これは在宅医療全般に言えることですが、訪問看護を知らない人がまだまだ多いということ。そこは我々の課題でもありますが、もっと知ってほしいし、使ってほしいですね。あとは、知っていてもすごくお金がかかるイメージを持たれているので、それで利用されないケースもあったりして。行政と連携して、訪問看護の周知啓蒙など、もっと活発にやっていけたらと思っています。
— 巣山さんが目指している「訪問看護」について教えてください。
前述しましたが「三方良し」の訪問看護です。この場合の三方は、ご利用者さん、医療スタッフ、地域にかかわるすべてのステークホルダーの方たち です。
利用者さんには絶対に「良し」としてやらなければいけないですが、それ以外の二方はいろいろと見直さなければならないことがあります。その解決に向けて、毎日日々仕事している感じです。
— 最後に地域住民の方へメッセージをお願いします。
とにかく地元に愛される訪問看護ステーションを作っていきますので、良い意見だけではなく、厳しい意見もいただければとても助かるので、よろしくお願いします。
品川区医介塾の副塾長とともに
 
プロフィール:
巣山裕之介(すやまゆうのすけ)
巣山裕之介(すやまゆうのすけ)
TOP MEDICAL株式会社 代表取締役
経歴:
2012年 東洋大学生命科学部
2013年 飲食店事業経営
2017年 人材会社
2021年 訪問看護コンサル会社
2023年 ALLXIA(オルシア)訪問看護ステーション開業