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ケアマネさんが気づくにはどうしたら良いのか? 最終更新日:2025/01/14

ケアマネさんのための訪問歯科講座
在宅医療のハブとなり活躍されているケアマネージャーさんへ「訪問歯科の今」を正しく、わかりやすくお伝えする「ケアマネさんのための訪問歯科講座」。
第3回は「ケアマネさんが気づくにはどうしたら良いのか?」のテーマにて、歯科医として求めるケアマネさんがすべき「歯」へのアプローチについて解説しました。
要介護高齢者の歯科治療の現状
ケアマネジャーさんは毎月約40名のご利用者様を受け持たれていると思います。
要介護高齢者のうち、歯科治療が必要だと言われているのは約65%と言われており26名(=40名×65%)のご利用者様には歯科治療が必要な可能性が高いです。
現状は2.4%しか要介護高齢者は受診できていないと言われおり、0.96人(=40名×2.4%)となります(❏ 令和元年日本歯科医学会「フレイルおよび認知症と口腔健康の関係に焦点化した人生100年時代を見据えた歯科治療指針作成に関する研究」)。
受け持っているご利用者様のうち1名でも歯科訪問診療を受けていれば、現状の要介護高齢者の歯科治療の受診をクリア出来ている状態になります。逆を考えてみると、受け持ちのご利用者様をお一人も歯科訪問診療につないでいないケアマネジャーの方がかなり多くの数いらっしゃるということです。
もしかしたら「何も本人が話していないから、口のことは関係ない」と思われているケアマネジャー様もいらっしゃるかもしれません。
お口の中にトラブルがあり、それを放置していると、噛めないので体重減少なったり胃腸障害が起きたり、誤嚥性肺炎のリスクも高めてしまいます。お口の中のトラブルに気づくことで、ご利用者様の健康寿命を伸ばせる可能性があります。
なお、平成30年の介護報酬改定に以下の文言ありますのでご紹介します。
「訪問介護事業所等から伝達された利用者の口腔に関する問題や服薬状況、モニタリング等の際にケアマネジャー自身が把握した利用者の状態等について、ケアマネジャーから主治の医師や歯科医師、薬剤師に必要な情報伝達を行うことを義務づける❏ 厚生労働省 平成30年度介護報酬改定の主な事項 P.6)。」
歯科訪問診療を頼むには、どの歯科医院に頼めばいいのか?
お口の中のトラブルをご利用者様から相談されても「どの歯科医院に連絡すればいいのかわらかない」というお声をケアマネジャー様から頂戴いたします。
その場合は、まずはかかりつけ歯科医師に連絡してください。以前、通院していた歯科医院でも結構です。
表向き歯科訪問診療を行っていなかった歯科医院だったとしても、以前、通院歴のある患者様の場合は、歯科訪問診療を行っていただける場合もあります。ご利用者様が以前と同じ先生にかかりたいと思っていましたら、是非連絡を取ってみてください。
もし、かかりつけ医が歯科訪問診療を対応していない、もしくはかかりつけ医がいない場合は、患者様の家の住所の近くの歯科訪問診療を探してみてください。
歯科側の実情を少しお話しますと、歯科訪問診療を行いたいと思っていても、実践できていない歯科医院がかなり多くあります。
厚生労働省の調査(❏ 中央社会保険医療協議会 総会(第549回)議事次第 在宅について(その1)令和5年7月12日開催分 歯科訪問診療を実施していない理由 P.102)で、歯科訪問診療をなぜ行っていないのかというと「歯科訪問診療の依頼がないから(ニーズがあれば対応は可能)」という歯科医院からの回答が上位にきています。実際には、歯科訪問診療を行いたくても、依頼がないために診療行為ができない歯科医院も存在することをケアマネジャーの方には知っていていただきたいです。
実際に歯科訪問診療を行っている歯科医院はまだまだ少ない状態ではありますが、今後増えてくるということは、皆様もご存じだと思います。
歯科医院としても、今まで行っていなかった歯科訪問診療を開始するというのは、とても大変なことです。
せっかくやる気になっているのに、患者様からの依頼がなく途方に暮れてしまっている歯科医院があることを知っていただけると幸いです 。
歯科医院により歯科訪問診療で治療できる内容が異なる
歯科訪問診療を実施している歯科医院の数はまだまだ少ない状態です。
治療できる内容も各医院によって異なってきます。
持っている器具も歯科医院によって異なります。
そのため、希望される治療ができるのか、事前に電話にて確認することをお勧めします。
例えば、飲み込みに関してです。
専門用語では「嚥下(えんげ)」と言います。
嚥下の評価に関しては、歯科訪問診療の中でも行っている医院は少なくなります。
嚥下内視鏡検査(略称:VE)は検査機器を持っていないと、検査を行うことができません。
歯科訪問診療の探し方として
① ご利用者様のかかりつけ歯科医院に連絡してみる
② かかりつけ医が対応できない、かかりつけ医がいない場合はご利用者様の近くの歯科医院に相談してみる。同じ事業所や知り合いのケアマネジャーに相談してみるなど。
③ それでも見つからなければ、「ご利用者様の住所 訪問歯科」と入力しインターネットにて探してみる。歯科訪問診療を検索しやすいサイトとして、「おうちde医療」でも考えていると思います。
※歯科医院によって、歯科訪問診療で行える治療の範囲が異なるので注意が必要となります。
歯科医院の課題として
固定の曜日しか歯科訪問診療を頼めない」「申し込みをしても折り返しの連絡がこない
などのご意見を頂戴いたします。
おそらく歯科医院側としては、外来の診療の合間に歯科訪問診療に行こうとしているところが多いと思います。
その点融通がつきにくい歯科医院が多くあることも事実で、申し訳なく思っております。
歯科全体として、歯科訪問診療にどう取り組んでいくのかについて、歯科側としても検討していかなければならないと個人的に思っております。
関連リンク:
基礎知識編
ご利用者さんのお口の中がどうなっているのか把握されていますか?
お口の中を放置するとどうなるのか?
訪問歯科で何ができるのか
 
執筆:
池川 裕子(いけがわゆうこ)
池川 裕子(いけがわゆうこ)
医療法人社団煌道会 出張歯科四つ木 院長
〒124-0011 東京都葛飾区四つ木二丁目18番2号 アプト船橋204
TEL:03‐6745‐8893
歯科訪問診療は以前より耳にするようになりました。
しかし、実際に何を治療してもらえるのか?どの医院を選べばいいのか?など
わからないことが多いのではないでしょうか?
ケアマネジャー様に向けて、歯科訪問診療の内容や申し込方法までわかりやすくお伝えしたいと思っております。