訪問診療クリニックでなぜ人が辞める?離職防止につながる組織マネジメント|12の処方箋 vol.3 最終更新日:2026/10/05

訪問診療クリニックでは、医師や看護師、医療事務、相談員など多職種が連携して日々の診療を支えています。一方で、「採用しても人が定着しない」「優秀な職員から辞めてしまう」「院内の人間関係や評価に不満が出ている」といった組織運営の悩みを抱える医療機関も少なくありません。
職員の離職は、単に本人の事情だけで起こるとは限りません。評価基準が曖昧であること、組織としてのルールや方針が共有されていないこと、院長・管理者と職員との認識にズレがあることなど、組織マネジメント上の課題が影響している場合もあります。
では、訪問診療クリニックが職員の離職を防ぎ、人が定着する組織をつくるためには、何から取り組めばよいのでしょうか。
本記事では、訪問診療クリニックの組織運営を支援するエイチコンサル代表・林達朗氏が、離職につながりやすい組織の特徴を整理しながら、院長・事務長が考えておきたい離職防止と組織マネジメントのポイントを解説します。
職員の離職は、単に本人の事情だけで起こるとは限りません。評価基準が曖昧であること、組織としてのルールや方針が共有されていないこと、院長・管理者と職員との認識にズレがあることなど、組織マネジメント上の課題が影響している場合もあります。
では、訪問診療クリニックが職員の離職を防ぎ、人が定着する組織をつくるためには、何から取り組めばよいのでしょうか。
本記事では、訪問診療クリニックの組織運営を支援するエイチコンサル代表・林達朗氏が、離職につながりやすい組織の特徴を整理しながら、院長・事務長が考えておきたい離職防止と組織マネジメントのポイントを解説します。
訪問診療クリニックでなぜ人が辞める?離職につながる組織の問題とは

コンサルとして入った瞬間に感じる違和感の正体について言語化したい。
「ここはいいクリニックだな」「ここは良くないクリニックだな」と皆さんも働いていて感じることがあると思います。
その組織が醸し出す雰囲気や違和感、まずはその原因をつきとめることからコンサルが始まります。
好き好んで悪くしてやろうと、悪意をもって在宅医療に取り組んでいる人間はいないはずです。
ほとんど場合、その「組織のポリシーやルール」が原因ではなく、その「人間そのもの」にあります。ここの根深い問題としては、当事者本人にその意識が無いという点です。よかれと思って、皆のためにと頑張っていることが組織にとって害になってしまうことがあるのです。
私のコンサルの全例ではありませんが、必要に合わせて全職員との面談も行ってきました。大変な労力がかかりますが、良くも悪くもその組織の「ボス」を見つけることになります。見た目上は院長や事務長ですが、いわゆる「裏のボス」です。
何かしらの問題があってコンサルに入るわけですから、問題解決における「ボス」の存在は非常に重要です。
ただ、「ボス」がいない、またはその役割を果たしていないという問題にも直面することがあります。
訪問診療クリニックの離職を招く組織マネジメントの3つの課題
・皆のために頑張っているという言葉の正体
よく「皆のために頑張っている」という言葉をお聞きしますが、多くの人は自分の為に頑張っている。結局は自分の居心地の良いように組織を動かしていこうとしている、ただこれは無意識でやっていることが多いのです。
ただ恐らくは自然と自分のポジションを守ろうとする行動や言動が、その組織の歪みや違和感を生むことになります。医療という業種からも、安全かつミスなくというバイアスが全ての行動にかかりますので、それが適切な行動であるかを十分に精査する必要があるわけです。
・組織のポリシーやルールはあるのか
バカみたいに「熱いポリシー」があっていいです、ただそれは、院長や理事長が本当に心から思っているものに限ります。迷ったらそこに帰るためのポリシーがあると、組織の迷いが減っていきます。
「院長がこういっている」「他でやらないけど、ウチならこうするかな」等、自然に職員が考えてくれるようになるとそれはもう大成功だと思います。ただポリシーが抽象的であれば、それを守るためのルールがあっていいと考えています。

・何故か本当に頑張っている人の正体
もの凄く頑張ってくれるかつパフォーマンスが高い人いませんか?
皆が同じポリシーやルールの中で動いても、自然と優劣が出来ていきます。役職のあるなしも当然あるでしょうが、結局はその人の「素地」につきます。
どういった人間性なのか?何が得意なのか?
学習能力の高低等は実際のところ、変化させることはほぼ困難です。
離職防止に必要な評価・ルール・組織づくり|訪問診療クリニックの課題
・評価は適正に
残業しているから、頑張っているからという曖昧な評価は組織の軋轢を生みます。インプット/アウトプットが適切であるかをしっかり判断するのは大切で、その評価に異議があっても、誰にとっても明らかな評価を作るか、またはねじ伏せる以外ありません。
全員の意見を採用することは困難ですので、組織のポリシー等を出しつつ、その行動が合致しているかをしっかりと評価していきましょう。
・まずは挨拶ぐらいの難易度から
簡単なルールから守れるようにしていきましょう。
いきなり何十ものルールを作ると皆が驚きますし、恐らくそれが出来ないと考える人が多いでしょう。組織の自浄作用と呼んでいますが、そういった機能があるのかないのか。無ければ外からの力でテコ入れする以外ありません。
組織の一部が腐ると、面白いように全体が腐っていきます。

・組織への愛着や忠誠心も大切な指標
小規模な組織であれば、「全員がYESマンであれ」と思うぐらいです。
ただトップたる人間に問題がある場合は、そうともいえません。シンプルに組織や人物に魅力が無いという事実を認識する必要もあるかもしれません。
なぜなら結果が全てですから。辞める/病める人が多いという事はお世辞にもポジティブに捉えられない事象なのです。
訪問診療クリニックの離職防止へ|院長・事務長が取り組む組織マネジメント
いかがでしたでしょうか?それでは、エイチコンサルからの処方箋です。
理事長・院長・事務長様へ
まずは組織で働く皆さんの話を聞きましょう。
ただし慣習化したヒアリングほど、意味のないものはありません。「どう?→何もありません」を繰り返すだけでしたら、やる必要もありません。
真に話を聞くということは、相手に興味を持つということです。そして相手もそれを感じることができるという関係性こそが重要です。
ここが出来ていない事例が非常に多くあります。もし出来ていないという自覚や苦手であると認識している場合は、もうやらない等ある意味ドメスティックな組織として動かすこともやぶさかではありません。
ライオンの子どものように、崖から落として這い上がってくるのを待つということになります。実際にそういったことをやっていると認識してください。

組織で働く皆さんへ
不自由な中にこそ自由あり。目標やルールは働く側からは忌み嫌われるものでありますが、ただそれは組織にとっては重要です。
なぜこんなにうるさいのだろうと思うかもしれません。評価されたい/給料を上げたい/個人の成長を考えた時に、重要なのはやはり組織の長に嫌われないことです。
一度嫌われてしまうと、いくら正論であっても、それはもう通らないでしょう。自分のカラーと組織のポリシーが合わない時は、結局皆最終的には辞めていっています。病める前に行動することが本人または組織にとっても良い結果になることが多いです。
本連載では、訪問診療クリニックの経営や組織運営で起こりやすい「お困りごと」をテーマに、エイチコンサルの林達朗氏が具体的な解決策を提示します。今後も全12回にわたり、現場に役立つ「処方箋」をお届けしていきます。
訪問診療クリニックの組織運営を支援するエイチコンサル 林達朗氏

経歴:
北海道釧路市出身。大学卒業後、医療事務として病院勤務。
その後は、鍼灸師・パソコン学校/医療事務講師を経て、30歳で訪問診療に出会う。
事務長等役職を歴任し、40歳で合同会社エイチコンサルを起業。
20以上の医療機関/株式会社と業務提携。
医療事務20年・訪問診療10年の経験から、あらゆる運営の困りごとを解決=訪問診療の世界平和を目指しています。
現在に至る
その後は、鍼灸師・パソコン学校/医療事務講師を経て、30歳で訪問診療に出会う。
事務長等役職を歴任し、40歳で合同会社エイチコンサルを起業。
20以上の医療機関/株式会社と業務提携。
医療事務20年・訪問診療10年の経験から、あらゆる運営の困りごとを解決=訪問診療の世界平和を目指しています。
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FAQ|訪問診療クリニックの離職防止・組織マネジメントに関するよくある質問

Q1. 訪問診療クリニックで職員が離職する主な理由は何ですか?
A. 離職の理由は待遇や勤務条件だけではありません。評価基準の曖昧さ、役割分担の不明確さ、院長や管理者との認識のズレ、職員同士のコミュニケーション不足など、組織マネジメント上の課題が影響することもあります。離職防止には、個人の問題だけでなく組織全体の仕組みを見直す視点が重要です。
Q2. 訪問診療クリニックの離職防止で最初に取り組むべきことは何ですか?
A. まずは、現在の組織で何が不満や負担につながっているのかを把握することが重要です。職員との面談やヒアリングを通じて、評価、業務分担、ルール、情報共有などの課題を整理します。そのうえで、一度に大きく変えるのではなく、改善しやすい項目から取り組むことが現実的です。
Q3. 評価制度を整えることは離職防止につながりますか?
A. 評価制度を整えることは、人材定着を考えるうえで重要な要素の一つです。何を評価するのか、どのような行動が期待されているのかが不明確だと、職員が不公平感を抱きやすくなります。評価基準を明確にし、職員へ共有することで、組織内の納得感を高めやすくなります。
Q4. 訪問診療クリニックではどのような組織ルールが必要ですか?
A. 必要なルールは、業務分担、報告・連絡方法、意思決定の手順、勤務上の基本方針などです。重要なのは、細かな規則を増やすことではなく、職員が「どう判断し、どう行動すればよいか」を共有できる状態をつくることです。まずは現場で頻繁に迷いが生じる項目から明文化するとよいでしょう。
Q5. 院長や事務長は離職防止のために何を意識すべきですか?
A. 院長や事務長には、組織の方針や期待する役割を明確に伝えることが求められます。また、職員の声を聞くだけでなく、評価やルールを一貫して運用することも重要です。個別対応だけに頼らず、職員が安心して働ける仕組みを整えることが、長期的な離職防止につながります。
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