1. おうちde医療
  2. >
  3. 在宅医療コンテンツ
  4. >
  5. 【在宅医療Q&A】PART1 在宅医療の基礎知識

【在宅医療Q&A】PART1 在宅医療の基礎知識 最終更新日:2024/11/19

【在宅医療Q&A】PART1 在宅医療の基礎知識
在宅医療に関するQ&A集です。PART1からPART10まで計81問を掲載します。PART1では「在宅医療の基礎知識」に関する10問です。
Q1 在宅医療とは何ですか?
在宅医療は、病院に通うことが困難な患者が自宅や入所している施設で治療やケアを受ける医療サービスです。具体的には、医師や看護師が患者を訪問し、必要な治療や処置、リハビリ、栄養管理、心理的サポートを提供します。
介護のサポートを併用し、患者が住み慣れた環境で生活の質を維持しながら治療を受けることを可能にします。 例えば、末期がん患者、神経難病などの慢性疾患を持つ患者或いは疾患が無くとも加齢による老衰が対象となります。厚生労働省のデータによると、約80%の方が病院で亡くなっていますが、「自宅で最期を迎えたい」と希望する人が70%を超えており、その希望に沿い在宅での看取りも行います。
Q2 在宅医療を受けるメリットは何ですか?
在宅医療のメリットには以下の点が挙げられます。
・心理的安心感:住み慣れた自宅で家族と過ごせるため、入院療養よりストレスは軽減され、患者の心理的安心感が得られます。
・通院の負担軽減:病院への頻繁な通院が不要となり、患者や家族の肉体的・経済的負担が軽減されます。
生活の質の向上:大切な人、家族との時間を十分に取れ、食事その他の生活が自分のペース、好みで行えます。
・個別のケア:個々の患者さんの希望を聞きながらケアが提供されるため、治療の質が向上し満足度も上がります​。また対話を重視する在宅医療では、医師や看護師とのコミュニケーションも活発になります。
Q3 在宅医療の対象となるのはどのような患者ですか?
在宅医療の対象となるのは、基本的には一人で独歩での通院が困難な患者です。具体例として、末期がん患者、重度の心疾患や呼吸器疾患を持つ患者、認知症、神経難病の患者などが挙げられます。疾患がなくても老衰の方も対象になります。
Q4 在宅医療で提供されるサービスにはどのようなものがありますか?
在宅医療では、以下のような多岐にわたるサービスが提供されます:
在宅診療:訪問診療は医師が定期的(月に1回から毎日)に患者の自宅を訪問し、必要な治療を行います。定期訪問以外でも緊急時には往診を行います。歯科医や歯科衛生士が訪問し、歯の治療、口内清掃や歯石除去を行い、口内環境を整えます。
訪問看護:看護師、理学療法士や作業療法士が訪問し、日常的なケアやリハビリテーションを提供します。
訪問薬剤管理:薬剤師が薬を届け、患者が適切に薬を服用できるように薬の管理や指導を行います。
訪問栄養管理:栄養士が患者の栄養、食事管理をサポートしします。
Q5 在宅医療の費用はどのように計算されますか?
在宅医療の費用は、訪問回数や治療内容、提供されるサービスの種類に応じて異なります。通常、医療保険や介護保険が適用されるため、自己負担額は入院治療に比較し少なく、限度額が適応され地域により自己負担は上限があります。具体的な費用は1か月の診療回数、疾患、治療や処置内容によって異なるため、詳細はかかりつけの医師にご相談下さい。
Q6 在宅医療を始めるにはどうすればよいですか?
在宅医療を始めるには、通院中であればかかりつけ医、入院中であれば病院の主治医もしくは地域連携室に相談します。もしくは、地域包括支援センター居宅介護支援事業所や市区町村の窓口にて相談します。
Q7 在宅医療のデメリットは何ですか?
在宅医療のデメリットには以下の点が挙げられます。
緊急対応の制約:緊急時には呼び出しになるので、病院ほど迅速に対応できない場合があります。
医療機器の設置と管理:在宅での治療には、医療機器の設置や日常的な管理、故障時の対応が必要となることがあります。
家族の負担:患者のケアには家族の協力が不可欠であり、家族にある程度の負担がかかることがあります。
専門医療の限界:特定の専門医療が必要な場合には、他の医師と連携し対応しなければならないケースがあります。
Q8 在宅医療を受ける際に家族の役割は何ですか?
在宅医療を受けるにあたり、家族は医療介護のスタッフとともに患者の生活支援や医療従事者との連絡調整心理的サポートを行う重要な役割を担います。
何より家族のサポートがあることで患者はより安心して在宅での療養生活を送ることができます。ただし家族の存在は必須ではなく独居生活者の在宅医療も可能です。
Q9 在宅医療と訪問看護の違いは何ですか?
在宅医療は医師が患者の自宅を訪問し、診療や治療を行う医療サービスであり、訪問看護は看護師、理学療法士や作業療法士が訪問して看護ケアを提供するサービスです。
両者は補完的な関係にあり、医師が診断や治療方針を決定し、それに基づいて看護師等が日常的なケアやリハビリを行います。医療と看護は両輪の関係で常に連携してケアを行います。
Q10 在宅医療の将来展望は?
日本の高齢化に伴い、今後約30万人の方の「看取りの場」が不足する状況*1であり、在宅医療の需要は今後ますます高まると予想されています。
政府は地域包括ケアシステムの構築を進め、在宅医療と地域医療の連携を強化しています。病院、介護施設、自宅のシームレスな連携を目指し、地域で医療・介護が完結できる地域づくりを目指しています。
[参考文献]
 
監修:
三宅 敬二郎(みやけ けいじろう)
三宅 敬二郎(みやけ けいじろう)
在宅診療敬二郎クリニック:名誉院長