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訪問診療クリニックのレセプトは外注・BPOすべき?人材不足と運営課題を解説|12の処方箋 vol.2 最終更新日:2026/08/30

訪問診療クリニックのレセプトは外注・BPOすべき?人材不足と運営課題を解説|12の処方箋 vol.2
訪問診療クリニックの経営において、レセプトは収益を左右する重要な業務のひとつです。一方、訪問診療は外来診療とは異なる算定ルールや対応が多く、レセプト業務を正確に担える医療事務人材を採用・育成することに苦労しているクリニックも少なくありません。
「レセプトができる人を採用したものの、期待していた業務範囲と違った」「院長自身もレセプトを十分理解できていない」「担当者の退職によって請求業務が回らなくなった」といった問題も起こります。
こうした課題に対する選択肢のひとつが、レセプト業務の外注・アウトソーシング・BPOです。
医療事務20年・訪問診療10年の経験を持つエイチコンサル代表・林達朗氏が、訪問診療クリニックのレセプト業務で問題が起こる背景を整理し、自院対応と外注・BPOをどのように考えればよいのかを解説します。

訪問診療クリニックで増えるレセプトの悩み|外注・代行サービスが求められる理由

私自身も訪問診療をメインとしたレセプト代行サービスを行っていますが、世の中にも数多く存在します。
代表的なものとして挙げると以下となります。
 ❏ ニチイ
総合病院から一般クリニックまで対応する最大手医療事務員を院内に常駐させる派遣・業務委託が中心です。受付、会計、クラーク、レセプト点検など、病院・診療所の現場業務をまるごと委託したい場合に選ばれます。
 ❏ ソラスト
病院経営支援と標準化に強い大手ニチイと並ぶ業界大手で、大規模病院や中規模クリニックの医事受託に強みがあります。業務プロセスの可視化・標準化や、デジタルツールを活用した効率化支援を得意としています。
 ❏ クラウドクリニック
在宅医療の「事務・受付周り」を丸ごと遠隔支援 訪問診療特有の複雑なレセプト代行だけでなく、患者・連携先からの電話一次対応、訪問看護指示書などの書類作成、新規患者の受入れ調整までオンラインで幅広く代行します。
 ❏ ココメディカ
在宅クリニックの「経営・運営」をトータル支援 レセプト作成代行にとどまらず、24時間365日の夜間・休日オンコール代行(コールセンター)や、訪問スケジュール管理などのICTシステム提供まで、在宅クリニック開業〜運営をワンストップで支えます。
 ❏ レセサポ
在宅医療レセプトの「精度・点検」に特化 在宅医療の経験豊富な専門スタッフがチーム制でカルテチェックからレセプト作成・伝送までを行います。 算定漏れの防止や返戻・減点リスクの最小化など、請求精度の向上にフォーカスしたいクリニックに向いています。
このように多くの企業が訪問診療に注目して取り組んでいます。理由としては明確であるのですが、訪問診療自体が歴史的に浅くノウハウがしっかりと形成されていないことに加えて、収益性が高い訪問診療をメインとしたクリニック開業が多く誕生していることが挙げられます。
どちらかというと陰日向であった「訪問診療」が注目されて、一時期は開業のビジネススキーム的にも持てはやされていました。特に都市部では数多くの訪問診療クリニックが乱立しており、サービス競争のような状況が起きています。
よって、訪問診療のレセプトへのノウハウ不足/人材不足という状況は必然性を伴って発生しています。

訪問診療クリニックのレセプト業務が難しい3つの理由

・高単価な訪問診療のレセプト
前述のごとく、多くの企業が訪問診療分野に参入する背景には、その収益性の高さがあります。
収益性の高い訪問診療なので、個人宅であれば1枚5,000点〜7,000点、施設であれば人数区分によっても変わりますが平均1枚2,000点はあるでしょう。
外来診療では、一般内科であれば1枚1,000点を超えることは中々ありません。
よって、歴史の長い外来/入院診療と比べて、歴史の浅い訪問診療のノウハウ不足/人材不足×高単価であるという事実は、非常に売上的(株式会社的)にマッチするわけです。
・レセプトは誰か出来るだろうという慢心
開業に向けて院長はスタッフを集めます。だたここで、レセプトを「強く意識する医師」と「そうでない医師」に極端に分かれていきます。
勤務医だったころにはおよそ意識しないことが多いレセプト。ただ開業した瞬間に、経営を揺るがす非常に重要なポイントであるとここではじめて気付くわけです。
先に述べた通り、正しく訪問診療のレセプトをこなせる人材というのは非常に少なく、採用できる可能性はかなり低いです。
しかも院長は、開業場所・銀行からの借り入れ・医療者の採用等、開業に向けて考えることが非常に多く発生します。
問題が起きるまで、レセプトのことを考えるまでに至らないことが私の経験則上多くあります。
・レセプト出来ますという罠
非常に主観的である「レセプト出来ます」というフレーズ。
一体どこまで出来るのかが重要で、レセプトチェックまで?オンライン請求まで?返戻や増減点対応まで?細かく質問する必要があります。
残念ながら、院長側にレセプトへの知見が無い状態ですとこれらの質問が出ることはありません。ただ「レセプト出来ます」というフレーズだけが先行し、採用したら期待通りに出来ないという不幸な事態が数多く発生します。
これは、院長がイメージするレセプトの期待値と応募者のレセプトの期待値にズレが発生しているからです。

訪問診療クリニックのレセプトは外注・BPOすべき?自院対応の課題

・外注文化の薄い医療業界
個人情報や守秘義務、医療という特性から外注するという文化自体が非常に馴染みが薄い業界です。ただ、世の中的には多くの企業はそういったアウトソーシング、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング )と呼ばれるサービスが数多く存在し利用されています。
自院で全てをこなすということは素晴らしいと思いますが、反面それを出来ない組織が多くあるのも事実です。
職員の採用と退職を何回も繰り返す医療機関を多く見ている中で、やはり教育する土壌が全くない組織においては、いたずらに時間と労力を使うのみでナンセンスだと思っています。
・医師のレセプトの無理解
レセプトへの解像度が高い院長/医師がいる場合、これは一定の水準を維持することができます。しかしながら、医師が診察をしなければ診療報酬は算定できません。
レセプトは大事ではありますが、そもそもの診察に影響してしまっては本末転倒ともいえます。正直今まで出会った医師の中でレセプトへの解像度が高い方というのは1割程度です。
特に訪問診療を長くやってこられて開業される先生は一定の知識がある印象です。そもそもレセプトは個別指導でも言われますが、医師が関わるべき業務として扱われています。療養担当規則的にも全く関係ないというスタンスは間違っているということです。
・決して能力が高くはない医療事務
皆さんもご存知かと思いますが、医療事務業界は低賃金です。ほぼ最低賃金で推移してきた業界です。
よって、お金を稼ぎたいという欲望や能力を持っている人が選ぶ業界ではありません。
まず、医師をはじめ医療機関はそこを理解すると良いと思いますし、何でもやらせたり/考えさせたりということが基本難しいのです。
むしろ特に大きな病院では勝手に考えることは許されず、ルールに則り動くことを求められます。いきなりそれを反転させることは難しいでしょう。
これは医療事務を蔑んでいるということではなく、むしろその業界に長くいた私はそこのギャップに苦しむ人を多く見てきたわけです。稀に非常に優れた方ももちろんいますが、それはもう奇跡のような採用であったと感謝すべきだと思います。

レセプト業務の外注・BPOも選択肢|訪問診療クリニックへの3つの処方箋

いかがでしたでしょうか?
それでは、エイチコンサルからの処方箋です。
 理事長・院長・事務長様へ 
人が定着しない、残業が減らないことをもしお悩みでしたら一度思い切って外注も検討してみてはいかがでしょうか?ますます複雑になっていく算定を放置するリスクもありますし、ウチは大丈夫と思っていても、意外に算定漏れを発見することがあります(多数経験済み)。
 開業を目指している先生様へ 
レセプトを是非理解してください。また一度やってみることもおすすめしています。それをしないと経営の根幹となるレセプトが正しいのか/間違っているのかの見当すらつきません。
 医療事務様へ 
訪問診療のレセプトは、まだまだ未開拓の分野です。給料を上げたい、新しい分野にチャレンジしたい人にはうってつけのフィールドです。また実際に訪問診療という家や施設での生活の中で、医療に関わる一員として接点もできていきます。入院や外来と違った「在宅=生活」という面白さが明確にありますので、是非興味をもってくださいね。
本連載では、訪問診療クリニックの経営や組織運営で起こりやすい「お困りごと」をテーマに、エイチコンサルの林達朗氏が具体的な解決策を提示します。今後も全12回にわたり、現場に役立つ「処方箋」をお届けしていきます。

訪問診療クリニックの経営・レセプト業務を支援するエイチコンサル 林達朗氏

林達朗代表のプロフィール

経歴:

北海道釧路市出身。大学卒業後、医療事務として病院勤務。
その後は、鍼灸師・パソコン学校/医療事務講師を経て、30歳で訪問診療に出会う。
事務長等役職を歴任し、40歳で合同会社エイチコンサルを起業。
20以上の医療機関/株式会社と業務提携。
医療事務20年・訪問診療10年の経験から、あらゆる運営の困りごとを解決=訪問診療の世界平和を目指しています。
現在に至る

FAQ|訪問診療クリニックのレセプト業務・外注・BPOに関するよくある質問

Q1. 訪問診療クリニックのレセプト業務は外注できますか?
A. はい。訪問診療クリニックのレセプト業務は、専門会社や医療事務のBPO事業者へ外注することが可能です。ただし、対応範囲は事業者によって異なり、レセプトチェックのみの場合もあれば、請求データの作成、オンライン請求、返戻・査定対応まで含む場合もあります。契約前に、どこまで対応してもらえるのかを確認することが重要です。
Q2. 訪問診療クリニックがレセプト業務を外注するメリットは何ですか?
A. 大きなメリットは、レセプト業務を担える人材の採用・教育負担を軽減できることです。訪問診療は算定ルールが複雑で、経験者の採用が難しいケースもあります。外注やBPOを活用することで、属人化を防ぎながら請求業務を安定させ、院長やスタッフが診療や患者対応など本来の業務に集中しやすくなります。
Q3. レセプト業務を外注する場合、どこまで任せることができますか?
A. 外注できる範囲は、レセプトチェック、算定内容の確認、請求データ作成、オンライン請求、返戻対応、査定・増減点対応などさまざまです。すべてを任せるBPO型だけでなく、一部の業務だけを外注する方法もあります。自院で不足している業務や人材を整理したうえで、必要な範囲を選ぶことが大切です。
Q4. レセプト業務の外注とBPOは何が違いますか?
A. 外注は、特定の業務を外部へ依頼することを広く指します。一方、BPO(Business Process Outsourcing)は、レセプト業務の一部作業だけでなく、業務設計や運用そのものを継続的に外部へ委託する考え方です。訪問診療クリニックでは、単純なレセプトチェックだけでなく、請求業務全体を安定運用したい場合にBPOが選択肢となります。
Q5. 訪問診療クリニックがレセプト外注・BPOを選ぶ際のポイントは何ですか?
A. 訪問診療のレセプトに関する実務経験があるか、対応範囲が明確か、返戻・査定対応まで可能か、院内スタッフとの連携方法が整っているかなどを確認することが重要です。また、単に費用だけで比較するのではなく、自院のレセプト業務における課題を整理し、どこまで外部に任せたいのかを明確にしてから選ぶことが失敗を防ぐポイントです。
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