1次予防とは?フィットネスと運動習慣で始める健康づくり|理学療法士が解説 最終更新日:2026/10/26

「健診では問題がなかったから、運動はまだ必要ない」「健康のために体を動かしたいけれど、何から始めればいいか分からない」。そう感じる方もいるでしょう。
1次予防とは、病気になる前から生活習慣を整え、健康を支える取り組みです。大切なのは、運動が得意かどうかではなく、今の暮らしに合う方法を見つけること。
札幌を拠点にフィットネスや医療・介護との連携に取り組む株式会社SHAREの理学療法士・渡邊匠が、リハビリテーションや運動療法の視点も交えながら、働く世代から高齢者まで実践できる健康づくりを紹介します。
歩く、座りっぱなしを減らすなど、日常でできる工夫と地域の制度を知り、自分らしい暮らしを続けるための一歩を考えてみましょう。
1次予防とは、病気になる前から生活習慣を整え、健康を支える取り組みです。大切なのは、運動が得意かどうかではなく、今の暮らしに合う方法を見つけること。
札幌を拠点にフィットネスや医療・介護との連携に取り組む株式会社SHAREの理学療法士・渡邊匠が、リハビリテーションや運動療法の視点も交えながら、働く世代から高齢者まで実践できる健康づくりを紹介します。
歩く、座りっぱなしを減らすなど、日常でできる工夫と地域の制度を知り、自分らしい暮らしを続けるための一歩を考えてみましょう。
1次予防とは?病気を防ぐための運動と健康づくりの基本
1次予防とは、病気の発症を防ぐために、生活習慣や生活環境を整える取り組みです。適度に体を動かすことに加え、食事、休養、禁煙なども含まれます。運動だけで健康づくりのすべてが完結するわけではありません。
予防の全体像を、まず簡単に整理しましょう。
・1次予防:病気になる前に、発症のリスクを減らす。
・2次予防:健診・検診などを通じて病気を早期に発見し、早期の治療につなげる。
・3次予防:病気やけがの後の重症化や再発を防ぎ、機能や生活の回復を支える。
・2次予防:健診・検診などを通じて病気を早期に発見し、早期の治療につなげる。
・3次予防:病気やけがの後の重症化や再発を防ぎ、機能や生活の回復を支える。
ただし、人を三つの箱にきれいに分ける必要はありません。ある病気の治療を受けながら、別の病気の発症予防に取り組むこともあります。大切なのは、「今の自分に、どのような支えが必要か」を考えることです。
そして、予防に取り組んでも、すべての病気を防げるわけではありません。病気のなりやすさには、体質や年齢、生活環境なども関係します。予防は、病気になった人の努力不足を問うための考え方ではなく、これからの生活を支える選択肢です。

フィットネスは誰のため?働く世代から高齢者までの健康づくり
1次予防は、まだ病気と診断されていない人が、将来の健康を守るためにも取り組めるものです。働く世代、子育て中の方、退職後の方など、幅広い年代に関わります。今回は、その中でも成人から高齢の方の運動を中心にお話しします。
「一日の大半を座って過ごしている」「以前より歩く機会が減った」「休日も疲れて家から出ない」。こうした生活を振り返ることが、健康づくりの入口になります。病気がないことと、体を動かす機会が十分にあることは、必ずしも同じではありません。
一方、健診で「要受診」と言われた場合は、運動だけで何とかしようとせず、受診につなげることが先です。新しく胸の痛みや強い息切れなどが現れたときも、「運動不足のせい」と自己判断しないでください。
ご家族の通院や介護を支えている方も、自分の体を後回しにしがちです。まとまった時間が取れなくても、生活の中で少し動く方法を探すことはできます。本人の気合いだけに頼らず、家族や職場と協力して時間をつくる視点も必要です。

運動療法の視点から考える、日常生活で実践できる運動習慣
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、個人差に応じて強度や量を調整し、今より少しでも多く体を動かすことを勧めています。成人では、歩行と同程度以上の身体活動を1日60分以上、歩数では約8,000歩以上に相当する量が目安です。
これは、毎日新たに60分のトレーニング時間を確保するという意味ではありません。通勤、買い物、家事なども、動きの強さに応じて身体活動に含まれます。短い時間に分けて積み重ねることもできます。
高齢者では、歩行と同程度以上の身体活動を1日40分以上、約6,000歩以上に相当する量が目安です。ただし、体力や体調による個人差があり、この量に届かなくても体を動かすことに意味があります。
普段あまり動いていない方が、いきなり数字を達成しようとする必要はありません。例えば、買い物の前に5分だけ歩く、昼休みに建物の中を一周する。まずは「これならできそう」という行動を一つ決めてみましょう。
歩くことに加えて、筋力を保つ運動も取り入れたいところです。同ガイドでは、成人・高齢者ともに筋力トレーニングを週2~3日行うことが推奨されています。高齢者には、筋力・バランス・柔軟性などを組み合わせた多様な運動も勧められています。
例えば、安定した椅子からの立ち座りも、体力に合わせて取り入れられる運動の一つです。椅子が動かない場所で、必要に応じて手すりなどの支えを使い、痛みのない範囲で少ない回数から試します。ふらつきや関節の痛みがある場合は、専門職に方法を相談しましょう。
もう一つ見直したいのが、座りっぱなしの時間です。仕事やテレビの合間に立つ、飲み物を取りに行くなど、同じ姿勢が続く時間をこまめに区切ってみてください。立つことが難しい場合も、できる範囲で体を動かすという考え方は共通です。
なお、胸の痛み、めまい、普段と違う強い息切れなどが出た場合は運動を中止し、医療機関に相談してください。持病がある方や運動制限を指示されている方は、主治医などと相談して方法や量を決めることが大切です。

事例紹介(60代女性):自宅でも、できる運動から取り組むようになった方
スマートウェイを利用する60代の女性は、週2回のトレーニングは楽しんでいたものの、日常では運動が苦手だったそうです。それでも、トレーナーが提案した自宅用の運動7種目のうち、3種目は日々の生活で取り組めるようになったと、利用者アンケートに回答しています。
最初からすべてに取り組む必要はありません。自分ができるものを選び、生活の中に少しずつ組み込むことも、健康づくりの一歩です。
スマートウェイを利用する60代の女性は、週2回のトレーニングは楽しんでいたものの、日常では運動が苦手だったそうです。それでも、トレーナーが提案した自宅用の運動7種目のうち、3種目は日々の生活で取り組めるようになったと、利用者アンケートに回答しています。
最初からすべてに取り組む必要はありません。自分ができるものを選び、生活の中に少しずつ組み込むことも、健康づくりの一歩です。
リハビリテーションの専門的視点を活かしたフィットネスと健康づくり
フィットネスクラブに通う理由は、体力をつけたい、体形を整えたい、気分転換をしたいなど、人それぞれです。健康づくりの入口も、それで構いません。
健康づくりとして考えるときに確認したいのは、その運動が「自分の体の状態」「続けられる生活」「大切にしたいこと」に合っているかです。
理学療法士の視点からは、筋力や関節の動きだけでなく、「普段どこへ出かけているか」「何をするときに困るか」「どんな生活を続けたいか」まで、一緒に考えたいと思っています。
続ける工夫も大切です。「時間ができたら歩く」より、「昼食の後に近所を少し歩く」と決めておく。靴を取り出しやすい場所に置く。買い物のついでに立ち寄れる場所を選ぶ。こうした小さな工夫なら、忙しい日常にも組み込みやすくなります。
暑さや寒さ、雨や雪などによって、外出しにくい日もあります。外を歩くことにこだわらず、屋内で歩ける場所や自宅での運動など、季節や天候に合う方法を用意しておくとよいでしょう。

事例紹介(50代女性):3か月で辞めるつもりが、5年以上の継続に
スマートウェイ屯田を利用する50代の女性は、もともと運動が苦手でした。友人に誘われて入会したものの、当初は3か月で辞めるつもりだったそうです。
月4回、1回20分の運動から始め、コーチが動きの見本を示し、そばで助言する中で、3か月後には「もう少し続けてみよう」と思うようになりました。ご本人のエッセイでは、執筆時点で5年以上通い続けていることが紹介されています。
運動が好きになってから始める必要はありません。苦手なことや不安も伝えながら、自分に合う取り組み方を探すところから始められます。
❏ 運動が苦手だった方が、5年以上続けている理由
スマートウェイ屯田を利用する50代の女性は、もともと運動が苦手でした。友人に誘われて入会したものの、当初は3か月で辞めるつもりだったそうです。
月4回、1回20分の運動から始め、コーチが動きの見本を示し、そばで助言する中で、3か月後には「もう少し続けてみよう」と思うようになりました。ご本人のエッセイでは、執筆時点で5年以上通い続けていることが紹介されています。
運動が好きになってから始める必要はありません。苦手なことや不安も伝えながら、自分に合う取り組み方を探すところから始められます。
❏ 運動が苦手だった方が、5年以上続けている理由
健康づくりを支える地域の制度|特定保健指導と介護予防の活用
健康づくりは、自分一人で計画して続けなければならないものではありません。自治体や加入している医療保険、職場などに、相談や参加の入口があります。
40~74歳の方を対象とする特定健診では、メタボリックシンドロームに着目して健康状態を確認します。その結果などから対象となった方には、生活習慣を見直すための特定保健指導が行われます。対象者や利用方法は、加入している健康保険組合や市町村国保などに確認できます。
高齢の方には、地域の介護予防教室や住民の活動も選択肢になります。「まだ介護は必要ない」という段階から参加できる活動もあります。お住まいの自治体の健康づくり・介護予防の窓口や地域包括支援センターに、身近な活動について尋ねてみてください。
運動を習うだけでなく、出かける予定ができる、顔見知りが増えるという点も、地域の場の魅力です。対象年齢、参加条件、費用などは活動によって異なるため、お住まいの地域の窓口で確認してください。
❏ 地域とともに歩む、喜茂別町での介護予防事業
❏ 地域とともに歩む、喜茂別町での介護予防事業
事例紹介(40代男性):特定保健指導をきっかけに、生活習慣を見直した方
SHAREの特定保健指導を受けた40代の男性は、初めは案内や定期的な報告を面倒に感じていたそうです。しかし、支援が始まると担当者へのメール報告を続け、自宅での運動にも取り組みました。
一方、週2日の休肝日は難しく、担当の管理栄養士に相談。まずは週1日でも取り組むよう助言を受けています。
健康づくりでは、決めたことをすべて実行できるとは限りません。できたことも難しかったことも共有しながら、生活に合う取り組み方を一緒に考えるために、身近な制度を活用できます。
❏ SHAREの特定保健指導について
SHAREの特定保健指導を受けた40代の男性は、初めは案内や定期的な報告を面倒に感じていたそうです。しかし、支援が始まると担当者へのメール報告を続け、自宅での運動にも取り組みました。
一方、週2日の休肝日は難しく、担当の管理栄養士に相談。まずは週1日でも取り組むよう助言を受けています。
健康づくりでは、決めたことをすべて実行できるとは限りません。できたことも難しかったことも共有しながら、生活に合う取り組み方を一緒に考えるために、身近な制度を活用できます。
❏ SHAREの特定保健指導について
1次予防の目的とは?自分らしい暮らしを続けるための健康づくり
病気の発症リスクを下げることは、1次予防の大切な目的です。ただ、日々の暮らしで「病気にならないため」だけを目標にし続けるのは、難しく感じることもあるでしょう。
そこで、少し先の楽しみと結び付けて考えてみませんか。
「来年も家族と旅行に行きたい」
「好きな釣りやキャンプを続けたい」
「自分で買い物をして、食べたい料理を作りたい」
「好きな釣りやキャンプを続けたい」
「自分で買い物をして、食べたい料理を作りたい」
そうした願いが、体を動かす理由になってよいのだと思います。

理学療法士として、私もつい、体の動かしにくさや生活で困っていることに目が向きます。でも、その人が好きなことや、すでにできていることを知ると、運動の提案も変わります。「もっと鍛えましょう」だけでなく、「好きな釣りを続けるために、何から始めましょうか」と考えたいのです。
ご家族や支援する立場の方も、まずは「どんなことを続けたいですか」「どこか行きたい場所はありますか」と聞いてみてください。「もっと運動して」と勧めるだけでは見えてこなかった、その人なりのきっかけが見つかるかもしれません。一緒に出かける予定を立てることも、健康づくりを支える方法の一つです。
札幌・北海道で健康づくりを支えるSHAREのフィットネスと医療連携
私たちSHAREは、北海道を拠点に、「すべての人がカッコよく歳を重ねられることを証明する」という理念のもと、フィットネス、医療との連携、介護・リハビリなどの事業に取り組んでいます。
健康づくりの入口の一つが、個別指導を受けられるフィットネスクラブ「 ❏ スマートウェイ 」です。運動の方法が分からない方も、スタッフと相談しながら、自分に合った運動に取り組めます。また、医療機関と連携した運動支援を行う「メディカルフィットネス」も展開し、体の状態に応じた健康づくりを支えています。

また、自治体などと連携した地域の健康づくりにも関わっています。施設へ通うことだけを入口にせず、身近な場所で健康について知り、体を動かすきっかけをつくることも、私たちの役割だと考えています。
私たちが大切にしているのは、日常の運動と医療・介護の間をつなぐことです。運動に不安が生じたときには、必要に応じて医療機関への相談につなぐ。医療機関で運動を勧められた方には、体の状態や治療方針を踏まえた運動の場を考える。こうした連携を通じて、健康状態が変わっても支えが途切れない形を目指しています。
❏ 医療機関・自治体の皆さまへ|SHAREとの連携について
❏ 医療機関・自治体の皆さまへ|SHAREとの連携について
自分や家族に合う運動の場を探している方へ
運動を始めたいけれど方法が分からない方や、持病があり運動に不安がある方は、サービスごとの対象・内容・施設情報をご確認ください。
まずは今日、「この先も続けたいこと」を一つ思い浮かべてみてください。そのために、いつもの生活で少しだけ増やせる動きは何でしょうか。
健康づくりの最初の一歩は、その小さな選択から始まります。
次回は、健診で異常を指摘されたときや、病気が見つかった後の運動について、2次予防の考え方とメディカルフィットネスの役割をお伝えします。
執筆者紹介|理学療法士・渡邊匠(株式会社SHARE)

経歴:
理学療法士/株式会社SHARE 地域共創部 部長/北海道理学療法士会 理事
北海道苫小牧市出身。2014年、茨城県立医療大学卒業、理学療法士免許取得。札幌市内の総合病院で臨床経験を積む。「医療の知識や経験を、地域で暮らす人々の日常に届けたい」との思いから、株式会社SHAREに入社。
現在は、地域と医療・介護・運動をつなぐ仕組みづくりや、医療機関・自治体との共創事業を推進。Webサイトの運営・検索対策、採用広報、データ分析を活かしたマーケティングにも携わる。
❏ 渡邊匠の活動や思いを読む|SHARE公式インタビュー
北海道苫小牧市出身。2014年、茨城県立医療大学卒業、理学療法士免許取得。札幌市内の総合病院で臨床経験を積む。「医療の知識や経験を、地域で暮らす人々の日常に届けたい」との思いから、株式会社SHAREに入社。
現在は、地域と医療・介護・運動をつなぐ仕組みづくりや、医療機関・自治体との共創事業を推進。Webサイトの運営・検索対策、採用広報、データ分析を活かしたマーケティングにも携わる。
❏ 渡邊匠の活動や思いを読む|SHARE公式インタビュー
よくある質問|1次予防・フィットネス・運動習慣について
Q1. 1次予防とは何ですか?
A. 1次予防とは、病気になる前から健康的な生活習慣を身につけ、病気の発症や生活習慣病のリスクを減らすための取り組みです。適度な運動、バランスのよい食事、十分な睡眠、禁煙などが含まれます。健康診断で異常がない方も、日頃から健康づくりに取り組むことが大切です。
Q2. 運動が苦手でもフィットネスを始められますか?
A. はい。フィットネスは、激しい運動やスポーツが得意な方だけのものではありません。散歩、軽いストレッチ、椅子を使った運動など、自分の体力や生活スタイルに合わせて始められます。大切なのは、無理なく続けられる運動を見つけ、日常生活の中で少しずつ体を動かす習慣をつくることです。
Q3. フィットネスとリハビリテーション、運動療法は何が違うのですか?
A. フィットネスは、体力の維持・向上や健康づくりを目的とした幅広い運動活動です。一方、リハビリテーションは、病気やけが、障害などによって生じた生活上の困難を改善し、その人らしい生活を支える取り組みです。運動療法は、医学的な評価に基づいて運動を治療や機能改善などに活用する方法で、リハビリテーションの一環として行われることもあります。
Q4. 健康づくりのためには、どのくらい運動すればよいですか?
A. 厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人には歩行またはそれと同等以上の身体活動を1日60分以上、高齢者には1日40分以上行うことが推奨されています。ただし、年齢や健康状態によって適切な運動量は異なります。まずは座っている時間を減らすなど、できることから始めることが大切です。
Q5. 札幌で健康づくりや運動習慣について相談するには、どうすればよいですか?
A. 札幌市では、地域の健康づくり事業や介護予防活動などを通じて、運動習慣を身につける機会が設けられています。また、フィットネス施設や医療機関と連携した運動支援なども選択肢になります。自分の体力や健康状態に合った方法を選び、持病がある方や運動に不安がある方は、必要に応じて医師や理学療法士などの専門職に相談しましょう。
本連載は、「病気になる前から、なった後まで。理学療法士が教える『予防とリハビリ』の新常識」をテーマとした全3回シリーズです。1次予防・2次予防・3次予防の視点から、人生100年時代を自分らしく健康に生きるための考え方と実践方法を紹介します。執筆は、株式会社SHAREの理学療法士・渡邊 匠が担当します。
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